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東工大とTOK、自己組織化で線幅7.6nmの回路を形成できる高分子ブロック共重合体を開発

マイナビニュース / 2024年8月23日 6時53分

画像提供:マイナビニュース

東京工業大学(東工大)と東京応化工業(TOK)は8月22日、線幅10nm以下の半導体微細加工を可能にする高分子ブロック共重合体の開発に成功したことを発表した。

同性かは、東工大 物質理工学院 材料系の早川晃鏡 教授、同 畠山歓 助教、同 難波江裕太 准教授、同 前川伸祐 大学院生、TOKの佐藤和史氏、太宰尚宏氏、瀬下武広氏らの研究グループによるもの。詳細は2024年7月6日付の「Nature Communications」にオンライン掲載された。

半導体の高性能化に向けて、プロセスの微細化が進められてきたが、いわゆる3nmプロセスや18Aプロセスといった近年のデバイスメーカーによる呼称は、実際の回路線幅とは乖離したコマーシャル的な要素が強いという側面がある。実際にはEUVリソグラフィを用いても、凹凸パターンの不均一さや回路線幅10nm以下の微細加工が困難であることが課題とされており、その解決策の1つとして、リソグラフィによるトップダウン型の半導体加工技術ではなく、分子の自己集合によって得られるナノ構造を用いるボトムアップ型の微細加工技術の実用化が注目されるようになっている。

ボトムアップ材料としての利用が期待されている高分子ブロック共重合体は異種の高分子鎖の末端同士が結合した特徴的な分子構造に起因して、分子の自己集合により「ミクロ相分離構造」と呼ばれるナノ周期構造を形成することが知られている。このミクロ相分離構造はその周期長が5~100nmほどであることから、半導体基板に回路パターンを描画するための鋳型としての応用が期待されており、実際の使い方としては、半導体基板上に薄く塗られたブロック共重合体中でミクロ相分離構造が形成され、その片成分を除去する形で残存した成分を目的の回路パターンの鋳型とすることが考えられている。

こうした半導体微細加工に用いられるブロック共重合体には、板状構造(ラメラ構造)もしくは柱状構造(シリンダー構造)が空気界面に対して垂直に配向している必要があり、その実現のためには「半導体基板上のブロック共重合体薄膜内において、ミクロ相分離構造が望んだ方向に向くこと」ならびに「ミクロ相分離構造の繰り返しの周期長が20nm以下(回路パターンの線幅10nm以下に相当)であること」の2つの特性が求められているという。これまで、各所の研究ではポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)のブロック共重合体(PS-b-PMMA)を用いて開発が進められてきたが、成分同士の混ざり合いにくさの指標であるFlory-Hugginsの相互作用パラメータ(χ)の値がPSとPMMAでは小さく、互いに混ざりやすいため、PS-b-PMMAを使った線幅10nm以下の微細加工は困難であったという。

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