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東工大とTOK、自己組織化で線幅7.6nmの回路を形成できる高分子ブロック共重合体を開発

マイナビニュース / 2024年8月23日 6時53分

そこで研究チームでは今回、PSとPMMAの垂直配向性を保ちながらもχ値が大きいブロック共重合体を開発。それを用いて、線幅10nm以下の回路パターンの鋳型となる線状構造の形成に成功したとしている。具体的には、χ値を上げるための極性基として2,2,2-トリフルオロエチル基とヒドロキシ基をPMMAブロックに導入し、その導入割合が精密に制御されたPS-b-PMMA誘導体を設計したとする。

得られたブロック共重合体を解析したところ、合成された材料は線幅10nm以下に相当する微細なラメラ構造を形成することが確認されたとするほか、2,2,2-トリフルオロエタンチオールの他にエタンチオール、ベンゼンチオール、2-フェニルエタンチオール、およびシクロヘキサンチオールを用いてブロック共重合体の合成を行い、それぞれに形成されるミクロ相分離構造を比較したところ、開発されたPS-b-(PGMAF-r-PMMA)がもっとも微細かつ明確なラメラ構造を形成することが確認されたという。

また、実際に半導体微細加工材料としての特性を評価することを目的に、表面が適切に処理されたシリコン基板上にPS-b-(PGMAF-r-PMMA)の薄膜を製膜し、加熱処理によりミクロ相分離構造の形成を行ったところ、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた薄膜表面観察より周期長12.3–18.6nmの垂直ラメラ構造が形成されていることが確認されたほか、薄膜内部の走査型電子顕微鏡(SEM)観察結果から、ラメラ構造界面は薄膜内部においても空気界面に対して垂直に配向していることが確認されたという。研究グループでは、PSの化学パターンが作製されたシリコン基板を用いた誘導自己組織化により周期長15.1nmのラメラ構造の配列制御を行い、線幅7.6nm相当の線状構造の形成に成功したとしている。

なお、研究グループでは、今回開発した技術について半導体回路パターンのさらなる高解像度化と集積回路の高密度化を推進するものであるとしており、今後は工業的に用いられている300mmウェハ上にPS-b-(PGMAF-r-PMMA)を塗布する形で誘導自己組織化による回路パターンの形成を進め、半導体微細加工材料としての実用化に向けた機能評価を行っていく予定としている。
(小林行雄)



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