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宮崎大、熱電変換材料で高性能なp型材料に匹敵するn型材料の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月23日 17時37分

画像提供:マイナビニュース

宮崎大学は8月22日、これまで高い熱電性能指数ZTを有する熱電変換材料として開発されてきたものはp型材料が大半であり、ペアとなる高性能n型材料の開発が急務とされていたが、n型「(Cu1-xAgx)2ZnSnS4」(CAZTS)単結晶の開発に成功したと発表した。

同成果は、宮崎大 工学部 電気電子工学プログラム(GX研究センター兼任)の永岡章准教授らの研究チームによるもの。詳細は、米国物理学協会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Applied Physics Letters」に掲載された。

エンジンやガスコンロなど、生活のさまざまな場面で熱が有効利用されずに捨てられており、日本中で発生している年間の廃熱量は原子力発電所数十基分の発電量に相当すると試算されている。そうした無駄に捨てられている熱を電気に変換できるのが熱電変換技術。これまでの熱電材料としては、テルル化鉛(PbTe)やテルル化ビスマス(Bi2Te3)が知られているが、有毒元素の鉛やレアメタルのテルルやビスマスを含んでいることが課題だったという。

さらに実用化するための指標として、1以上のZTが求められているが、達成できている材料は限られていたとする。エネルギー変換効率において太陽電池と熱電発電を比較してみると、太陽電池が10~15%であるのに対し、熱電発電では5~10%であり、変換効率の低さも普及させるための課題となっていた。

基本的な熱電発電デバイスは、柱状に切り出されたp型とn型の熱電材料の両端を金属電極と接続するパイ型構造を基本としている。そして、それらを直列に接続することで、大出力の熱電発電デバイスとなる。材料ごとにそれぞれ異なったZTの温度依存性、熱膨張率、融点といった特性を有するため、熱電デバイスに高い変換効率や長期安定性を望むには、熱電特性や安定温度の近いp型材料とn型材料を用いる必要があるという。ところが、現在1以上の高いZTを達成している材料はほとんどがp型材料であり、それらと釣り合える高い性能を有する高n型材料がない状況だった。それに加え、大半の材料はpn伝導制御が困難であることも課題だったという。もし伝導型が制御できる材料を開発できれば、デバイス化に向けて大きなアドバンテージを有するとする。

そこで研究チームは今回、地殻中に豊富に存在し、毒性の低い元素(銅、亜鉛、スズ、硫黄)で構成された環境調和型「Cu2ZnSnS4」(CZTS)に注目することにしたとする。

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