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JAIST、がん細胞に吸収されて抗がん効果を発揮するナノ粒子の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月23日 18時58分

画像提供:マイナビニュース

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は8月22日、ナノ炭素材料の1つであり、高い生体適合性と優れた物理化学的特性を有する「カーボンナノホーン」(CNH)の表面に、がん細胞成分と抗がん剤を被覆したナノ粒子の作製に成功したことを発表した。

同成果は、JAIST 物質化学フロンティア研究領域の都英次郎准教授らの研究チームによるもの。詳細は、ナノサイエンス/テクノロジーに関する全般を扱う学術誌「Small Science」に掲載された。

CNHは、都准教授らにより、生体透過性の高い波長領域(650~1100nm)のレーザー光を用いることで、容易に発熱する特性(光発熱特性)があることが確認され、がん患部の可視化と光熱変換による治療などが期待されるようになった。しかし、光発熱特性を発揮させるには溶媒中にナノレベルで分散させる必要があるが、CNHは水中などでは分子間の強い相互作用により、粒状に凝集してしまう点が課題となっていた。

CNHの水中分散性を実現する手法として、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマーを表面に化学的に被覆するというものがある。しかし、PEGそのものが重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性があった。また、PEG修飾したナノ粒子を繰り返し投与した際、2回目の投与で従来の高い血中滞留性が損なわれ、血中から速やかに消失する現象も報告されており、代替材料が強く望まれていたとする。そこで研究チームは今回、がん細胞成分をCNHに搭載できれば、体内におけるCNHの血中滞留性、腫瘍内浸潤性、免疫活性などを高められるのではないかと考察し、マウスを用いた動物実験を進めることにしたという。

具体的には、がん細胞成分と抗がん剤を被覆したCNHをがん患部に同時に送り込むことで、がん細胞成分に由来する上記の血中滞留効果、腫瘍内浸潤作用、免疫賦活化能に加え、抗がん剤に由来する薬効と共に、生体透過性の高い近赤外レーザー光を用いることで、患部の可視化やCNHに由来する光熱変換を利用した、新たながんの診断や治療のための技術の開発が目指された。

それを実現するため、簡便な超音波照射によって、がん細胞成分をCNH表面に吸着させることで、水溶液中に分散させられる技術を開発。また、がん細胞成分を活用することで、水に不溶な抗がん剤「パクリタキセル」(PTX)を、CNH表面に同時に被覆することにも成功したという。同手法で作製された「がん細胞成分-PTX-CNH複合体」は、30日以上の粒径安定性を有していること、細胞に対し高い膜浸透性を有し抗がん作用を発現すること、近赤外レーザー光照射により発熱が起こることが確認されたとした。

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