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JAIST、がん細胞に吸収されて抗がん効果を発揮するナノ粒子の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月23日 18時58分

それを受けて、がん患部の可視化と治療効果についての試験が行われた。がん患部の可視化には、がん診断に利用可能な近赤外蛍光色素「インドシアニングリーン」(ICG)を、がん細胞成分と共にCNH表面に結合させたナノ粒子(がん細胞成分-ICG-CNH複合体)が利用された。

大腸がんが移植されて約10日後のマウスに、がん細胞成分-ICG-PTX-CNH複合体が投与され、24時間後に740~790nmの近赤外光が当てられた。すると、がん患部が蛍光を発している画像が得られたという。また同ナノ粒子が、非イオン性のポリエトキシ化界面活性剤で被覆された従来型の水溶性ポリマーで被覆されたCNH(CRE-ICG-CNH複合体)と比較して、がん組織に効果的に取り込まれていることも確認された。そこで、ナノ粒子(がん細胞成分-PTX-CNH複合体)が集積した患部に対し、808nmの近赤外レーザー光が照射された結果、がん細胞成分に由来する血中滞留効果、腫瘍内浸潤作用、免疫賦活化能と抗がん剤に由来する薬効に加え、CNHの光熱変換による効果で2日後には、がんを完全に消失させることに成功したとした。

一方、腫瘍内における薬効メカニズムが組織学的評価により調査されたところ、とりわけレーザー照射されたナノ粒子(がん細胞成分-PTX-CNH複合体)において、細胞障害性の高いT細胞やナチュラルキラー細胞などの免疫細胞が活性化されていることが判明したという。

さらに、がん細胞成分-PTX-CNH複合体をマウスの静脈から投与し、生体適合性を血液検査(1週間調査)と体重測定(約1か月調査)により評価が行われたが、どの項目でもがん細胞成分-PTX-CNH複合体が生体に与える影響は極めて少ないことが確かめられたとした。

以上の成果は、今回開発されたがん細胞成分のナノ粒子コーティング技術が、革新的がん診断・治療法の基礎に成り得ることを示すだけでなく、ナノテクノロジーや光学などの幅広い研究領域における材料設計の技術基盤として貢献することを十分期待させるものとしている。
(波留久泉)



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