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バイプレイヤーの泉 第138回 『新宿野戦病院』塚地武雅、昭和ホームドラマのような台詞回しが心地よい

マイナビニュース / 2024年8月26日 11時0分

そして8月14日の放送で、しのぶさんの素性があきらかになる。彼女は心が女性、見た目が男性というトランスジェンダー。病院ではあくまでも女性看護師だ。ただ認知症の実母の前では、通勤途中に着替えて、ぶっきらぼうな息子になる。この二つの顔を行き来している理由は、大好きだった夫を失った母のため、父親になりすますしのぶさんの愛情のこもった演出だった。複雑な理由ながらも、伝わる親子の愛情深さ。この役を塚地さんは演じた。

○なぜ全世代から愛される?

塚地さんの所属事務所の公式ホームページによると、身長168㎝、体重88kgの小肥満体型。今回のしのぶさん役も、朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)の海野弁護士役もよく育った腹部が目立つ。加えて私と同じくアラフィフの独身のおじさん。プロフィールだけ眺めていると、最近の意識の高い若手からは嫌悪されそうな素材が揃っている。ちなみに私も立派な出っ腹だ。

が、塚地さんは全世代から愛されている。5歳の子どもが塚地さんを見て、メロメロになっている様子を見たこともある。彼、まるでディズニーキャラクターに登場するプーさんにように愛でられているではないか。

彼のようなビジュアルで人気者のタレント、俳優は多くいる。でもご本人しか持ち合わせないような魅力は何だろうと、もう一度『新宿野戦病院』を見た。

「ね、みんなちょっとずつ嫌な気持ちになったでしょ? それがアメリカ、それが資本主義。ああ、ヤダヤダ……」

そこで改めて気づいたのが、彼が発するセリフは一語一句、非常に伝わりやすい。よりナチュラルな演技や台詞回しが受け入れられやすい昨今にもかかわらず、彼の話し方はまるで昭和のホームドラマを見ているようだ。台本に丁寧だと言ってもいい。得てして、それらを「棒読み」と呼ぶ人もいるけれど、これは塚地さん独特のスタイルと呼んでも過言ではない。

この言い回しとヒットしたのが『裸の大将 21世紀版』(フジテレビ系 2007年)の山下清役だった。あの「ぼ、ぼ、僕はおにぎりが食べたいんだな」なんていう、これもまた独特なセリフを表現できたのは塚地さんだからなのだろう。見る側からしても中高年や、子どもには発音が分かりやすいのは肝心だ。

思い返すと他の作品でもこのスタイルだけは、ずっと同じ。継続は力なりと、今、どの作品でも話題をかっさらう姿を見て、改めて実感させられた。

ちなみに彼のドラマ以外の出演作で面白いのは『ドランク塚地のふらっと立ち食いそば』(BS日テレ)。要は彼が巡る街ロケ。自然と店に馴染んでいく姿、トークは(現在の役柄なら)まるで、しのぶさんそのもの。しかもうまそうに食べているので、ご興味ある方はぜひ。

小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら
(小林久乃)



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