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京大など、脊髄損傷後のリハビリでの運動麻痺改善に重要な脳内経路を確認

マイナビニュース / 2024年8月26日 11時18分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)と生理学研究所(生理研)の両者は8月22日、マカクザルの脊髄損傷モデルを用いて、リハビリテーションによって手指の運動機能が改善していく過程において、脳の運動前野をつなぐ大脳半球間経路が運動機能回復に重要な役割を担うことを明らかにしたと発表した。

同成果は、京大大学院 医学研究科の伊佐正教授(京大 ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi) 主任研究者兼任)、同 三橋賢大大学院生(現・同 特定助教)、生理研の小林憲太准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

手足の運動機能に関わる「皮質脊髄路」は、ヒト・霊長類で発達したとされ、特に手指などの巧緻な運動に重要とされる、脳の運動野から脊髄の運動ニューロンへと下行する神経経路のことだ。左右にあり、延髄の錐体で交叉することから別名「錐体路」とも呼ばれている。

脊髄損傷や脳卒中などによって同経路が損傷すると運動麻痺を生じ、損傷の程度によっては重度の麻痺が残り、寝たきりの原因ともなってしまうことが、医学的・社会的な問題となっている。このように神経細胞は、一度損傷を受けてしまうと再生することが難しいことがわかっている。しかし、その一方で神経ネットワークは大人になっても可塑性があり、リハビリテーション療法などによって残存した神経経路による代償を促すことで、ある程度の運動機能の改善が得られることもよく知られている。ただし、そのメカニズムの大半がわかっていない状態であることから、このメカニズムを解明することが、将来のリハビリテーション療法の発展にとって重要とされている。

これまでの研究では、片側の皮質脊髄路が損傷を受けた場合には、損傷を受けていない側の脳部位の「運動前野」の活動が上昇することが知られていた。ただし、この活動上昇が回復に貢献しているのか阻害しているのかは議論が分かれてたという。また、活動上昇がどの神経経路を介してもたらされているのかも不明のままだったとする。

そこで研究チームは今回、サルの運動前野に左右それぞれ異なるウイルスベクター(ウイルスをもとに作られているが複製・増殖能は失われている、遺伝子の運び屋)を注入し、皮質脊髄路の損傷を受けた側の運動前野から反対側(損傷を受けていない側)の運動前野に投射する神経細胞のみを、「化学遺伝学的手法」を用いて可逆的に阻害したという。

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