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カレー沢薫の時流漂流 第314回 フードロスと半額ハンターを駆逐するAIさん、米騒動も何とかしてくれ

マイナビニュース / 2024年8月26日 17時15分

このような野生の殺し屋を家族に持つ場合はもちろん、冷蔵庫から発掘された賞味期限的にあやしい食べ物と対峙する時、最終的に信じるのは無機質な日付表示ではなく、己の嗅覚だ。

せっかくコロナから生還しても、嗅覚が戻らねば判断を誤りセルフ服毒自殺を図ってしまう恐れがある。

賞味期限に従えば済む話かもしれないが、期限が切れた瞬間ゲル状になるというわけではない。見た目的にまだイケそうなら期限が切れていてもトライする人は多いと思う。

だが消費者が期限切れに挑むのは自己責任だが、製造や販売側が期限切れ食品を何も起きないことにワンチャンかけて売るのは違法である。
○前置きが長くなったが、本題のAIの話である

企業は期限切れ食品は廃棄しなければならず、もちろん廃棄は損失だ。

よって廃棄にするぐらいならと、期限間近の弁当や総菜を割引や半額で投げ売るスーパーも多く、夕刻になるとそれを狙ったハンターたちが集まり「賑わっているのに寂しい」という、情緒不安定な光景を作り出すことになる。

買う側からしたら半額弁当は救世主だが、売る側からすれば廃棄よりマシというだけで、割引販売は普通に損であり、できれば夕方前にちょうど売り切るのが理想だ。

しかし、数を絞りすぎて午前中で完売宣言を出す壁サーみたいになったら、その後来る客からの利益を逃すことになる。

結局多めに作って、余ったら割引で一掃という、ある意味非効率な方法が続けられていたが、なんとここにも「AI」の波がきているらしい。

あるスーパーが、AIで生鮮や総菜の需要を予測し、それに基づいて発注を行ったところ、実際にロスが減ったそうだ。

フードロスが問題の解消につながっているなら何よりだが、このままだと廃棄の運命にある弁当を自腹で買い取り胃に収める慈善活動を行ってきた、アフターシックスハンターにとって、割引総菜の数が激減するというのは、「令和の大飢饉」として教科書に載っていいレベルの事件である。

しかし、物価高の影響なのか、今どきは割引総菜争奪戦が激化し、半額になる前から商品をカゴにキープし、半額時間になってから、店員に半額シールを貼れと迫るアウトローが増えるなど、治安悪化が深刻化しているそうだ。

いくら総菜が安くても、3分に1回客がバックヤードに連れていかれているようなスーパーには行きたくない。AI導入により総菜売り場の治安回復効果も期待できる。

しかし、そのせいで半額総菜目当ての客が来なくなり、その客がついでに行う買い物による利益が激減するのではないかとも思う。

1円セールが撒き餌で、そのついでに買われる大して安くない商品で利益を出しているように、血を血で洗って半額総菜を手にしても、そのついでにいらない物を買ってしまったら無意味である。

半額総菜ハンターをやるなら「半額総菜だけ買って帰る」というストイックさも必要なのだ。
(カレー沢薫)



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