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九大、東アジア全域の台風の降水量が近年急増していることを確認

マイナビニュース / 2024年8月27日 6時22分

画像提供:マイナビニュース

九州大学(九大)は8月23日、陸域降水量観測および大気再解析データを併用し、台風本体の「コア降水」と、間接的な影響の「遠隔降水」を分離・同定する新しい客観的手法を開発して解析した結果、遠隔降水は西日本に大きなインパクトを与えていること、台風降水域で領域平均された日降水量が50mm以上の日数は今世紀に入って東アジアで2.2倍ほど急増していることなどを明らかにしたと発表した。

同成果は、九大大学院 理学府のJiwei Wu大学院生、同・大学院 理学研究院の川村隆一教授らの研究チームによるもの。詳細は、極端な気象と気候に関する全般を扱う学術誌「Weather and Climate Extremes」に掲載された。

地球規模の気候変動による災害リスクの変化を適切に評価するためには、気候システムの自然変動による変化も理解する必要がある。両者にとって台風の遠隔降水の定量的な評価が欠かせないことから、台風による豪雨災害の将来予測における不確実性の低減に貢献するだけでなく、台風がもたらす水資源の長期的予測にもつながるという。そこで研究チームは今回、台風が東アジアに最も上陸する7~9月に注目し、同地域全域にわたる台風による降水量および極端降水の長期変動傾向の実態を解明することを目指し、まずコア降水と遠隔降水を分離・同定する客観的手法を開発することにしたとする。

まずコア降水は、従来研究とも矛盾しない、台風中心から半径550km以内の降水域と定義するのが妥当と判断された。一方、遠隔降水の同定に明確な客観的基準はなかったとする。遠隔降水が顕著な事例では、コア領域と接続する非常に強い水蒸気フラックス(水蒸気の流れ)が観測される。その流れの下で局在化した強い降水域が頻繁に観測されることから、両者の密接な関係性に基づいて遠隔降水が同定された。具体的には、(1)6時間間隔の大気再解析データから見積もられる鉛直積算水蒸気フラックスが350kg m-1s-1を超える領域を抽出し、(2)同領域が台風中心から半径2500km以内にある場合を遠隔降水が生じる範囲と定義された。水蒸気フラックスの閾値は、「大気の川」の概念を活用。閾値を超えない領域では弱い降水域が散在する傾向にあり、ケーススタディでも台風の遠隔降水と判別するのはかなり困難とした。最後に、(3)遠隔降水が生じる範囲が東アジアの陸域に重なった時に、重なった領域内で降水があれば遠隔降水と同定された。その妥当性について半径2000~3000kmについての検証も行われ、今回の結論と変わらない結果を得られたという。

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