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『海のはじまり 特別編』なぜ重要な時期の“1回休み”でも視聴者に受け入れられたのか

マイナビニュース / 2024年8月28日 11時0分

ちなみに『いちばんすきな花』のスピンオフ「みんなのほんね」は、第1話こそ無料のTVerだったが第2話~第6話は有料のFODで配信していた。その点、『海のはじまり』は「本編で築いた視聴者との信頼関係を損ねないために、すべて無料で見てもらおう」という方針変更の跡が見える。

話を特別編「恋のおしまい」に戻すと、本来は本編終了後の放送、あるいは「兄とのはじまり」と同じようにTVerでの配信がベターだろう。終盤に突入し、クライマックスに向けて盛り上がる第9話の前に放送する必然性は見当たらない。

これは目黒蓮の活動休止によるものだったが、他の作品なら唐突すぎてこれほど受け入れられなかったのではないか。『海のはじまり』は前述したように過去作によるスタッフへの信頼が厚く、なかでも生方美久の果たす役割は大きい。

●唐突な特別編を成立させた立役者
生方はこれまでの8話で主人公の月岡夏だけでなく、現恋人・百瀬弥生(有村架純)、元恋人・南雲水季、夏と水季の子・南雲海(泉谷星奈)、水季の母・朱音(大竹しのぶ)、水季の同僚・津野晴明、夏の弟・月岡大和などの心模様を丁寧に描いてきた。

その「時間をたっぷりかけて主要人物の心境や言動、背景や事情を丁寧に描く」というスタイルは生方の十八番であり、他の脚本家ではまず見られないもの。だからこそ特別編「恋のおしまい」は夏がメインの物語ではなくても、違和感なく受け入れられやすかったのだろう。

例えば、全話のオープニングに水季を登場させたり、5日放送の第6話で水季が出産を決意した理由を明かしたり、12日放送の第7話を「いちばん近くで支えてくれた人」というタイトルで津野がメインの物語にしたり。視聴者は水季や津野への思い入れが増した状態で特別編を迎えられたため、決して唐突ではなかった。

そんな生方の脚本は演じる俳優たちにとって「見せ場たっぷりでやりがいがある」一方で、「演じるのが難しく大きなプレッシャーがかかる」などの負担も大きい。つまり技量がなければ演じられない役柄なのだが、だからこそ実力優先のキャスティングが貫かれている。

古川と池松は人気こそ同世代のトップクラスではないものの、その演技力は世代屈指。その他でも大竹しのぶ、利重剛、西田尚美、林泰文、田中哲司らベテラン勢も含め、「演技力優先の妥協なきキャスティングが、突然の特別編を成立させた」と言っていいのではないか。

特別編の放送に際して、村瀬プロデューサーが自身のX(Twitter)に「津野くん、本編では見せたことのない表情を今夜は見せまくってくれてます」「夏と過ごしていた大学時代とも、海が小学校に上がる頃とも違う、この時期だけの水季を古川琴音さんが見事に演じてくださっています」などと投稿していた。これは古川と池松が「本編とは違う演技が必要な特別編をこなす技量がある」ということだろう。

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