1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

金大、脳の記憶や学習に重要なAMPA受容体のナノスケールでの動きを撮影成功

マイナビニュース / 2024年8月27日 21時2分

画像提供:マイナビニュース

金沢大学(金大)は8月26日、脳の記憶や学習に重要な役割を果たす「AMPA型グルタミン酸受容体」(AMPA受容体)の細胞外ドメインのナノメートルスケールでの動きを、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて動画撮影することに成功したと発表した。

同成果は、金大 ナノ生命科学研究所の角野歩助教(同・大学 新学術創成研究機構兼任)、同・柴田幹大教授(同・大学 新学術創成研究機構兼任)、同・炭竈享司特任助教らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するナノサイエンス/テクノロジーに関する全般を扱う学術誌「ACS Nano」に掲載された。

AMPA受容体は「GluA1」~「同4」の4つのサブユニットからなり、四量体のイオンチャネル型受容体として、中枢神経系の興奮性シナプスの可塑性に重要な役割を果たす。そのおよそ半分が、細胞外側の大きなN末端ドメイン(NTD)として存在している。このNTDが欠損すると、AMPA受容体のイオンチャネル機能は保持されるものの、シナプスへの移動と集合が妨げられることが明らかにされていた。しかし、NTDがシナプスでの集合をどう誘導するのか、その詳細な分子メカニズムは未解明だという。そこで研究チームは今回、高速AFMを用いて、脂質二重膜内に埋め込まれたAMPA受容体のNTDの動きをナノメートルスケールかつリアルタイムで可視化し、シナプス領域への集合に関わる分子メカニズムの解明を試みることにしたとする。

今回の研究では、「HEK293細胞」にAMPA受容体のサブユニットGluA2とその補助サブユニット「TARP-γ2」を融合させたタンパク質を発現させ、単離・精製してGluA2-γ2の可溶化試料が作成された。その後、GluA2-γ2を脂質ナノディスクへ再構成することで、脂質二重膜内に埋め込まれた環境を再現し、0.3秒の時間分解能で高速AFMによる一分子イメージングが行われた。

観察の結果、休止状態(リガンド非結合状態)とオープン/活性化状態(グルタミン酸結合状態)のGluA2-γ2のNTDが、脂質に対して水平方向に大きく揺れる動きをすることが判明。高速AFM動画では、脂質ナノディスクから突き出た2つのNTDダイマーが見えており、それらが互いに開閉する動きを示したという。

さらに、リガンドが結合しているがチャネルが閉じている「脱感作状態」でのGluA2-γ2の動きに関しての高速AFM観察が行われた。その結果、2つのNTDダイマーが脂質に接近し、ダイマー間の距離が広がり、揺れが制限されてほぼ動かない構造を取ることが確認された。研究チームは、GluA2-γ2のNTDダイマーが休止状態、オープン状態、脱感作状態で大きく構造変化し、これがチャネルの開閉と連動していると考えているという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください