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横国大など、リチウムイオン電池を高性能化する正極材料の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月28日 20時57分

画像提供:マイナビニュース

横浜国立大学(横国大)、名古屋工業大学(名工大)、島根大学、科学技術振興機構(JST)の4者は8月27日、ナノ構造を高度に制御した「リチウムマンガン酸化物正極材料「LiMnO2」を開発し、同材料がレアメタルのコバルト・ニッケルフリーでありながら、高エネルギー密度・長寿命の電池正極材料となることを発見。商用的規模で大量生産が可能な技術を利用し、材料の比表面積とナノ構造を高度に制御する方法論を確立することで、既存のニッケル系層状材料に匹敵するエネルギー密度をマンガン系材料で達成可能であることを立証したと共同で発表した。

また、急速充電も可能な材料であり、リチウムイオン蓄電池と電気自動車の高性能化・低コスト化の両立実現につながる技術であることも併せて発表された。

同成果は、横国大大学院 工学研究院の藪内直明教授、名工大 生命・応用化学類の中山将伸教授、島根大 材料エネルギー学部 材料エネルギー学科の尾原幸治教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する化学に関連する分野全般を幅広く扱う学際的な学術誌「ACS Central Science」に掲載された。

電気自動車(EV)の1回の充電での航続距離の延長と、車両の低価格化を実現するため、リチウムイオン電池(LIB)のさらなる高エネルギー密度化などの高性能化と低コスト化の両立が求められている。現在市販されているEVの多くでは、少量のコバルトを含むニッケル系層状酸化物が正極材料として広く用いられている。ニッケルがレアメタルであることを踏まえると、LIBにニッケル系材料を使っている限り、これ以上の低価格化を実現するのは難しいという。

そうした中、EVの販売台数が急増している中国では、エネルギー密度がニッケル系層状酸化物と比較して低いが、より低価格な鉄系材料が電池正極材料として広く採用されており、欧州でも市場の拡大が進んでいる。そこで研究チームは今回、コバルト・ニッケルフリーの構成でありながら、従来のニッケル系層状材料と同程度のエネルギー密度の正極材料の開発を試みることにしたとする。

今回の研究では、鉄と同様に資源埋蔵量が豊富で安価なマンガンを利用し、さらに独自開発のナノ構造を高度に制御することで、コバルト・ニッケルフリーの構成でありながら、従来のニッケル系層状材料と同程度の800Whkg-1程度のエネルギー密度のリチウムマンガン酸化物正極材料「LiMnO2」の開発に成功したという。

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