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横国大など、リチウムイオン電池を高性能化する正極材料の開発に成功

マイナビニュース / 2024年8月28日 20時57分

また材料の合成手法にも、商用的な規模での大量生産が可能な、一般的な無機材料の合成として広く工業的に利用されている「固相焼成法」が用いられており、材料を低コストで大量合成することもできるとした。さらに、EV用途では急速充電も求められるが、ニッケル系材料と比較しても遜色の無い急速充電特性(約10分で8割程度再充電が可能)が達成されており、電池材料としての実用性は非常に高いといえるとした。

横国大の藪内教授らの研究チームは、種々のLiMnO2の「結晶多形」(化学組成は同一だが、結晶構造が異なる)の合成を実施。そして、結晶構造や充放電時の相変化挙動、材料の比表面積とエネルギー密度の相関関係の詳細な解析が行われた結果、複合的ドメイン構造を有し、さらに、比表面積の大きな試料を合成することで、優れた電極特性を持った材料となることが突き止められたという。また名工大の中山教授らは、これら材料の相変化挙動に影響する因子を理論的に解析。島根大の尾原教授らは、熱力学的に最も安定な直方晶のLiMnO2と、熱力学的に準安定な単斜晶のLiMnO2の複合的ドメインを有する材料の特徴的なナノ構造の解析を行ったとした。

研究チームはこれまでの研究により、高濃度のフッ素を含有させたリチウム過剰型マンガン系酸フッ化物「Li2MnO1.5F1.5」により、コバルト・ニッケルフリーの構成でニッケル系材料と同様の高エネルギー密度化が可能であることを報告していた。しかし、Li2MnO1.5F1.5は材料の合成手法が複雑であり、大量生産の実現が課題だったという。それに対し、今回の材料は合成手法も簡便であり、低コストで大量生産も可能なことが大きなメリットとした。

また、鉄系材料は炭素被覆を必要とすることが、材料合成コストの上昇と低い体積充填率につながっていることが課題だった。それに対し、マンガン系材料では炭素被覆の必要がないため、今後の研究の進展により、鉄系材料以下のコストで、高エネルギー密度を有するLIBの実用化が期待できるという。このような低コスト・高エネルギー密度のLIBはEVの低価格化の実現と、普及価格帯の高性能EVの誕生につながることが期待できるとしている。
(波留久泉)



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