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千葉大、うつ病と社交不安症に関わる脳機能の異常を解明

マイナビニュース / 2024年8月28日 20時58分

まず低周波変動振幅の群間比較により、3群のその値は「右中心後回」、「左後頭極」、「右上前頭回」に有意差があることが確認された。右中心後回および左後頭極において、健常者と比較してうつ病患者と社交不安症患者の低周波変動振幅は減少していたが、両疾患の低周波変動振幅には有意差が発見されなかったという。また、右上前頭回において、社交不安症患者および健常者と比較してうつ病患者の低周波変動振幅は増加していたとする。

次に、上述の群間比較で得られた低周波変動振幅に有意差がある3つの脳領域が、「seed-to-voxel/seed-to-ROI脳機能的結合解析」のシード領域(脳機能的結合を解析する際に基準として用いる特定の脳領域やボクセル(三次元のピクセル)のこと)として使用された。シード領域からの信号と、脳全体の各ボクセルまたは特定の領域との相関を調べることで、シード領域がどの領域と機能的に結びついているかを特定することが可能。その結果、3群間では、右中心後回内、右中心後回と「小脳虫部第3小葉」の間、右中心後回と「左視床」の間の機能的結合性、また、左後頭極と「右中側頭回側頭後頭部」の間の機能的結合性、さらに、右上前頭回と「右縁上回後部」の間の機能的結合性に有意差が示されたとした。

これらの脳領域は、身体感覚、視覚処理、認知機能および感情調節などの機能に関連しているため、両疾患の共通的な脳機能異常は、うつ病患者と社交不安症患者における感情障害と認知障害などの類似性を説明するものと考えられるという。また、右上前頭回において、うつ病患者では健常者と社交不安症患者の両方よりも低周波変動振幅が高いことが示された。この異なる脳機能異常は、うつ病患者と社交不安症患者の臨床症状の違いを説明し、両疾患を区別する特徴になる可能性があるとしている。

今回の研究は、低周波変動振幅と機能的結合性を組み合わせて、局所的なレベルとネットワークレベルで健常者、うつ病患者および社交不安症患者3群の脳機能の違いが検討された。その結果、うつ病患者と社交不安症患者で共通する脳機能異常と異なる脳機能異常があることが示された。今回の研究成果は、両疾患の神経メカニズムの解明、診断バイオマーカーおよび新しい治療戦略の開発の一助となることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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