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カレー沢薫の時流漂流 第315回 日本人はもっと上を向いて歩こう、あとネットは使い過ぎないように気を付けよう

マイナビニュース / 2024年9月2日 17時7分

○満足していればいいのか、不満はいけないのか

冷静に考えれば、飢えることなく、屋根のある場所で寝て、外に出ても犯罪に巻き込まれる率が低く、一日62時間Xに向き合える生活は悪くないのではないか、と考え至り「割と満足してる」と答えてしまいそうな気がするのだ。

だが、さらに冷静に考えると「俺が考える最強の満足した生活」が「文化的で最低限度の生活」に肉薄してきているとも言える。

つまり、日本人の満足度が上がっているのではなく、日本人が「満足」と感じる水準が激オチくんしているだけなのではないか。

足るを知っていると言えば聞こえは良いが、国民全体が「自分如き衣食住に困っていないだけで十分」と思ってしまっているだけ、とも言える。

満足度が高いからと言って、日本が良い国になっているとは言えないし、逆に不満が高ければ悪いとも言い切れない。

今の生活に不満ということは、俺様はもっといい生活をすべきだという、向上心、自分や国に対する期待や希望をもっているとも言える。

そういった希望や期待を全て失った時に人は「どちらかと言えば満足している」にマルをつけてしまうのかもしれない。

昔「ブータン」という国が「幸福度世界一」と言われていたが、今は幸福度ランキングに姿がないという。

これは今までブータンが閉鎖的な暮らしをしてきたため「これが幸せなのだ」と思えていたが、国の方針が開放路線に変わって国外の情報が入ってきてしまったり、近代化でメディアやネットが普及してしまったことにより、他国と自国を比べるようになってしまったせい、とも言われている。SNSで港区女子どころか世界中のキラキラ野郎どものキラキラ生活とか見せられたら、それはもう大変イライラすることだろう。

満足度は、何と比較するかでも変わって来る。

往路で強盗にあい、復路で強盗にあう国と比べれば日本の暮らしは満足いくものになるが、社会福祉が充実し、病院学校老人ホーム無償な国と比べれば、日本は不十分な国になってしまうだろう。

つまり、回答者の満足水準、何と比較して満足かが定まっていない時点で、この調査結果から何か正確なことがわかるというわけではない。

面白いのは、この調査には、そもそも回答者自体が偏っているのではないか、という意見もあったことだ。

確かに同じアンケでも、銀座のディオール前とトー横でやるのとでは結果が大きくか変わるだろう。

あらゆる層を調査することでやっと平均と思しきものが算出されるのだが、そもそもこの調査が届き、回答ができている時点で、上澄みの意見しか掬えていない可能性はある。内閣府だから、そんな新聞の支持政党アンケートみたいに偏らないように調査している可能性もあるが、実際、知る由もないところなので、インターネットで回答するインターネット利用率調査みたいな可能性はぬぐい切れない。

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