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台風の中で決行し、高視聴率という結果を得た『24時間テレビ』は成功なのか――最大の危機を最高のチャンスに変えられないもどかしさ

マイナビニュース / 2024年9月3日 13時0分

ただ、日テレは「最大のピンチを最高のチャンスに変えられなかった」ように感じてならない。今回のチャリティーは主に児童養護施設と能登の2つをピックアップして行われたが、台風や大雨によって現在進行形で各地に被災者が増えていた。

つまり被災地は能登のみではなく、緊急性はむしろ他のほうが高い状況だけに、その支援も呼びかけたらチャリティー番組としての存在意義を示し、生放送らしい臨場感を醸し出せたのではないか。しかも今回の災害は予期しづらい地震などではなく、事前にリスクがわかる台風と大雨だけに、「児童養護施設と能登+台風と大雨」というチャリティーを打ち出せなかったところに、もどかしさを感じてしまう。

逆にやす子が番宣出演した生放送の情報番組では、「台風や大雨の情報を扱っているのに、『24時間テレビ』の話題になると一切ふれない」という対応で視聴者に不信感を抱かせていた。長い時間をかけて準備してきたものや収録済みの映像が多く、構成は変えたくないとしても、生放送でメッセージを送り、支援を呼びかけることくらいはできただろう。

その他の話題としては、「画面に募金を促すQRコードと『現在の募金額』を表示し続けることの賛否」「なぜ現在開催されているパラリンピックのアスリートをスルーしたのか」「やす子がゴール直前、観客に胸をさわられたことへの怒り」などがあった。これらは今後に向けた検討課題になっていくのではないか。

番組全体やネット上のコメントを見続けた結果、「これまでのやり方を変えずに何とか乗り切れた」という印象が残った。これまでの出演者報酬や感動ポルノなどの批判に、募金横領や台風と大雨が加わって過去最大の危機を迎えていただけに、「今年は乗り切れた」というレベルの成功だったのではないか。

しかし、これ以上ないリスクの中、放送が強行されたことで「こういう構成・演出が好きな人が見る番組」という見方や、「そうでない人は勝手にやれば」というスタンスが一歩進んだ感もある。

もし制作サイドが「視聴率や募金額で成功した」と感じているのなら「来年は危うい」と言わざるを得ない。むしろ昭和時代のように国境を越えた企画も交えるなど、海外配信での再生も視野に入れたグローバルなチャリティーを見せてもらいたいところだ。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
(木村隆志)



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