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JAXAとESAの水星探査機「ベピコロンボ」、エンジン不調で到着は1年遅れに

マイナビニュース / 2024年9月3日 20時32分

画像提供:マイナビニュース

欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月2日、両機関による国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」(ベピコロンボとは、水星磁気圏探査機「みお」と水星表面探査機「MPO」が水星到着まで合体した状態の名称でもある)において、2024年4月に発生した同探査機のイオンエンジンの不調を解決できないことから最大出力での噴射ができず、その結果として当初予定されていた2025年12月5日の水星軌道への投入が不可能となったこと、新たな軌道を航行するため、水星到着はおよそ1年後の2026年11月になること、到着が1年遅れても両探査機共に運用に支障は無く、それぞれこれまで通りに科学観測を実施する計画であることを発表した。

また、日本時間9月5日6時48分(欧州中央時間9月4日23時48分)に4回目の水星フライバイ(減速スイングバイ)を行うが(当初からこの日に4回目のスイングバイを実施する予定だった)、ESAによって考案された新たなルートを通り、当初よりも水星に35kmほど近い高度約165kmを通過することも併せて発表された。

ベピコロンボは、2018年10月20日にアリアン5ロケットによって、フランス領ギアナ・クールーのギアナ宇宙センターから打ち上げられた。水星軌道は、平均して太陽~地球間の距離の4割弱の距離にあり、木星や土星などの外惑星に比べればずっと距離的には短いが、その周回軌道に入るのは容易ではない。地球軌道よりも内側へ向かうということは、打ち上げ時の地球脱出速度に太陽への落下速度も加わるが、そのままだと速度が速すぎて水星の周回軌道には入れないため、大きく減速する必要があるからだ。

宇宙機の減速(加速)は、大量の燃料を搭載できれば容易だが、現状はそれが難しいため、惑星による減速(加速)スイングバイが用いられる。ベピコロンボの場合は、地球で1回、金星で2回、さらに水星で6回の計9回の減速スイングバイを行う予定。日本時間の9月5日に実施されるのは、水星での4回目の減速スイングバイで、この後、2024年12月1日と2025年1月8日に5回目と最後の6回目の減速スイングバイを行う。

当初は2025年12月5日に到着の予定で足かけ7年強の旅路だったが、今度のコース変更で2026年11月の到着となるため、8年強の旅路となる。この8年という時間をかけると、外惑星なら木星の周回軌道に入れてしまう。太陽~木星間は、太陽~地球間の5倍以上の距離があるが、JAXAも参加するESA主導の木星氷衛星探査計画の探査機「JUICE」は8年で到達する予定(2031年7月の到着予定)。より遠方にある木星の周回軌道に入るのと同等の年数を要することが、水星の周回軌道に入ることの難しさを物語っているのである。

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