ジェフ・ベゾスの超大型ロケット「ニュー・グレン」、10月13日にも初打ち上げへ
マイナビニュース / 2024年9月3日 19時50分
ニュー・グレンは当初、2020年にも初打ち上げが予定されていたが、開発は遅れ、打ち上げもずれ込んだ。
2020年には、米国空軍(現・宇宙軍)からの軍事衛星の打ち上げの認証と契約を獲得できなかったことで、同社内でのニュー・グレンの優先順位が下がり、初打ち上げは2022年以降とされた。軍事衛星の打ち上げ需要は大きいため、ビジネス面でも、打ち上げ回数を稼いで運用の安定性と信頼性を上げるという意味でも、獲得は必須だったのである。
その後も、主にBE-4エンジンの開発時の問題などにより、遅れが続いた。今年2月になり、ケープ・カナベラル宇宙軍ステーションのLC-36発射施設において、実物大のダミー機体を使った試験が行われた。5月には、実機を使った試験も行われている。
また、2024年6月12日には、米国宇宙軍から軍事衛星の打ち上げに必要な認証を獲得した。このほか、すでにNASAをはじめ、衛星通信会社のテレサット、ユーテルサット、さらに衛星インターネットの開発を進めているAmazonなどから、商業打ち上げを受注しており、市場などからの期待は高い。
ニュー・グレンの初飛行で打ち上げられる「ESCAPADE」
ニュー・グレンの初飛行では、NASAの火星探査機「ESCAPADE(Escape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers)」を打ち上げる。
ESCAPADEは、同型の2機の探査機を火星の周回軌道に投入し、それぞれ離れた位置から同時に観測を行うことで、火星の磁気圏と太陽風の相互作用を調べることを目的としている。
探査機の打ち上げ時の質量は1機あたり約0.5tで、合わせても1tほどの小型の宇宙機である。
ESCAPADEは、NASAの「SIMPLEx(Small Innovative Missions for Planetary Exploration、直訳で「惑星探査のための小型の革新的なミッション」)プログラムに基づいて開発された。このプログラムは、他の探査機に相乗りするなどして打ち上げることで、ハイリスクながら低コストの惑星探査ミッションを実現することを目指している。
当初、ESCAPADEは小惑星探査機「サイキ」と相乗りで打ち上げられる計画だったが、サイキの開発が遅れ、打ち上げ時期と軌道が変わったことで、相乗りでは火星に到達できなくなった。
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