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農工大、不安定な「分子性酸化チタン」を水素生成光触媒とする技術を開発

マイナビニュース / 2024年9月4日 18時22分

画像提供:マイナビニュース

東京農工大学(農工大)は9月3日、チタン錯体を原料に用いて、簡便な手法で「分子性酸化チタン」(TiO4)を安定化する手法を開発し、水素生成光触媒として機能することを明らかにしたと発表した。

同成果は、農工大 工学府の稲田光大学院生、同・大学大学院 工学研究院 応用化学部門の前田和之准教授、同・森田将司助教らの研究チームによるもの。詳細は、英国王立化学会が刊行する無機化学と有機金属化学に関する全般を扱う学術誌「Dalton Transactions」に掲載された。

TiO2に光触媒としての機能が確認されて以降、特に近年では、エネルギー製造、環境浄化やセルフクリーニング機能を利用するコーティング材への応用など、さまざまな分野において光触媒としての研究開発が活発に進められている。酸化チタンは通常、TiO6八面体から成る結晶構造を取る(結晶性酸化チタン)。TiO2の粒径をnmオーダーまで微細化すると、分子が持つエネルギーの低い状態と高い状態との差が大きくなり(「エネルギー準位が離散的」な状態)、粒系の大きなバルク状態では見られない光触媒特性を発現する。

さらに、分子・原子レベルまで微細化されたTiO4ユニットのような分子性酸化チタンはエネルギー準位がより離散的となり、「アナターゼ」(準安定なTiO2の形態の1つで、正方晶の対称性を持つ)や「ルチル」(二酸化チタンの多形の中で最も安定で、正方晶の対称性を持つ)といった結晶性酸化チタン(六配位構造)とは異なるユニークな光化学特性を示すことがわかっていた。

しかし、四配位構造の分子性酸化チタン(TiO4)は高い触媒活性を発現することで知られているものの、極めて不安定であり、容易にアモルファス、結晶性酸化チタンが生成して高い触媒活性が失われてしまうことがわかっていた。これは、高い反応性を持つ「四塩化チタン」や「チタンアルコキシド」に代表される従来のチタン原料では、自発的に加水分解、重縮合が進行することが理由である。そのため、分子性酸化チタン(TiO4)の安定化手法の構築が強く求められていたという。

そこで研究チームは今回、適度な安定性・反応性を有する「酸化チタン(IV)ビスアセチルアセトン」(TiO(acac)2)をチタン原料として用いて、四配位構造の分子性酸化チタンの固定場として、「メソポーラスシリカ」の細孔表面のシラノール基に着目することにしたとする。

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