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神戸大、木星衛星ガニメデに直径300kmの巨大小惑星が衝突していたと発表

マイナビニュース / 2024年9月6日 10時17分

小惑星が落ちると、その衝撃や、結果として巨大なクレーターができたり、衝撃で弾き出された大量の岩塊が降り積もったりすることによって、表面や地下の構造が大きく変わる。これによってその変化のなかった周囲と比べて密度分布にむらが生じ、重力的に異質な状態の「重力異常」になる(恐竜を絶滅させた衝突の痕跡である「チクシュルーブ・クレーター」にも重力異常が確認されている)。

天体表面に正の重力異常が生じると、その重力異常に引っ張られて自転軸が多少変化することがわかっている。つまり、重力異常が大きければ、自転軸も大きく変化することになる。そこで今回の研究では、ガニメデ表面の衝突の規模に対し、どれくらいの重力異常が生じるのかが計算された。そして重力異常の規模に対してガニメデの自転軸がどのように変化するかも調べられた。

その結果、潮汐軸とファロウの中心の一致を説明できるような重力異常を作り出せるのは、直径300kmの小惑星が衝突したと仮定する場合が最も整合的だったという。この時の衝突で、直径5300km弱のガニメデに700kmもの巨大なクレーター(チクシュルーブ・クレーターは約180km)が一時的に形成されたはずであり、生じた重力異常によって、自転が安定するまでの1000年にわたりガニメデを振動させたことが考えられるという。この衝突の規模は、痕跡が明確に残っているものの中では太陽系最大であり、まさに太陽系史上最大の天体衝突イベントの1つだったと考えられるとした。

このような大きな衝突が天体にどのような影響を与えるのかについてはまだ謎が多く、天体の表層進化・構造進化・熱進化という観点で貴重な事例であり、今後のさらなる研究によって、月・地球やガリレオ衛星の初期進化に関する研究の進展も期待できるとしている。

また、日本も参加している欧州宇宙機関主導の木星氷衛星探査計画「JUICE」や、NASAの木星氷衛星探査計画「エウロパ・クリッパー」が2030年代に木星圏に到着し、ガニメデの探査も実施する予定だ。それらによって、この巨大衝突についてのさらなる事実が発見されていくことが期待されるとしている。
(波留久泉)



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