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理研、量子コンピュータのための新たな高効率の誤り訂正技術を開発

マイナビニュース / 2024年9月9日 6時36分

画像提供:マイナビニュース

理化学研究所(理研)は9月5日、量子コンピュータのための新たな量子誤り訂正符号「多超立方体符号」を提案し、誤り訂正技術を高効率化することに成功したと発表した。

同成果は、理研 量子コンピュータ研究センター 量子コンピュータアーキテクチャ研究チームの後藤隼人チームリーダーらによるもの。詳細は、米国科学振興協会が刊行する「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。

量子コンピュータは、従来型(古典)コンピュータとは異なり、0と1どちらかのビットだけでなく、その両者の重ね合わせの状態も取ることが可能(量子ビット)で、それを実現しているのが、量子力学における、複数の物理的な状態が重なり合った状態の「量子重ね合わせ状態」である。

しかし同状態は壊れやすいため、量子コンピュータは、古典コンピュータよりも高い確率で計算中に誤りが生じてしまう。そこで重要となるのが、誤り訂正技術となる。符号化によって守られた情報を表現する量子ビットのことを「論理量子ビット」といい、この論理量子ビットを用いることで誤りを訂正できるようにする仕組みを持ったものが誤り耐性量子コンピュータである。

誤り耐性量子コンピュータは現在のところ実現できていないが、その理由がここにある。現在の標準的な量子誤り訂正符号では、論理量子ビットを1つずつ多数の「物理量子ビット」(量子コンピュータのハードウェア上に物理的に実装されている量子ビットのこと)に符号化するため、全体として物理量子ビット数が膨大になってしまい、誤り耐性量子コンピュータの実現を阻む大きな課題となっているのである。n個の物理量子ビットを用いて、k個の論理量子ビットを符号化する場合、比k/nをその符号の「符号化率(レート)」と呼ぶが、従来の量子誤り訂正符号では、たった1個の論理量子ビットを守るために多数の物理量子ビットを必要とすることから符号化率が数%以下と低く、非常に非効率だったのである。

そのような課題の克服のため、最近期待されているのが、多数の論理量子ビットをまとめて符号化できる高符号化率の量子誤り訂正符号(高レート符号)。しかし、これまでの高レート符号は符号の構造が複雑であり、従来の論理量子ゲートを並列に実行することが比較的困難という、別の課題が生じていたという。そこで後藤チームリーダーは今回、高い符号化率を有する新たな量子誤り訂正符号を提案することにしたとする。

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