三菱重工流のDXとは? わずか4年で約1000個の業務改善アプリを内製できた理由
マイナビニュース / 2024年10月2日 9時0分
「私たちは事業価値と顧客価値につながる取り組みを目指している。事業部門から言われたものをDX部門が作るのではなく、事業部門とDX部門が協働して課題に向き合い、価値を探索する必要がある。改善を繰り返しながら、徐々に目指す姿に近づいていくのが理想だ」と山本氏は同社の目指す世界を説明した。
約1000の業務アプリを「kintone」で内製開発
EX活動の成果として、kintoneの活用が紹介された。サイボウズが提供するkintoneは、ノーコードで業務アプリが開発できるクラウドサービス。難解なプログラミング言語を覚えなくても直感的にアプリを作ることができる点が特徴で、2023年12月末時点で導入社数は3万2800社を超え、東証プライム企業の3社に1社が導入している。
三菱重工のDPI部では、kintoneで各事業部門の業務アプリを一括で開発しているが、事業部門と協働しながら開発を進めている。「事業部門が抱えている課題を共有してもらった上で、試験的なアプリを開発する。そして事業部門と共に改善を重ね、業務を効率化できるアプリ開発を完成させる。ビルド・スクラップ・ビルドで素早く正解を導いている」と山本氏は胸を張った。
2020年にkintoneの導入を開始したが、2024年9月現在、開発した業務アプリ数は963。DX部門だけでなく52部門で3000人を超えるユーザーがkintoneを活用している。山本氏は特に業務改善を図ることができた2つの事例を紹介した。
一つは、海外拠点のバックオフィスを業務改善したアプリ開発。三菱重工には大小さまざまな海外拠点があり、「幹部層が膨大なバックオフィス業務に忙殺され、本来業務に集中できない」、「膨大な量の社内決済が紙で運用されており、書類管理が煩雑になっている」といった課題があったという。
そこで、社内決済業務をデジタル運用できるようにkintoneアプリを複数開発した。幹部層を通じてた拠点へ口コミが広がり、アジア5拠点に水平展開することができた。海外小規模拠点が抱えていた長年の業務課題はわずか数カ月で解決に至った。
「DPI部のエンジニアが海外拠点に直接出向き、現地の従業員と議論を重ねながら、本当に必要な機能を見極めている」(山本氏)
もう一つの事例は、産業機器部門における米国拠点のアフターサービスの業務改善だ。米国市場で伸長中のアフターサービス業務の運用に欠かせない基幹システムをkintoneで開発した事例だ。
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