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阪大など、XFELを用いて100兆分の1秒で固体→プラスマの遷移過程を観察

マイナビニュース / 2024年9月9日 17時56分

レーザーが照射された銅薄膜に対する、100兆分の1秒のX線パルスを用いた撮影が行われた。すると、加熱された領域のX線の透過率の変化が観測されたという。この加熱領域の時間変化は、2つのレーザーのタイミングを変えることで捉えられ、最終的に銅薄膜表面が変形することで現れる干渉縞も撮影されたとした。これらの結果は、銅薄膜が加熱され、平衡状態に至り、その後冷却される時間発展を詳細に捉えたものとする。

さらに、X線の光子エネルギーを変化させて得られた実験データと、高強度レーザーと物質の相互作用をシミュレーションした結果が比較された。衝突過程やイオン化過程が組み込まれたプラズマ粒子シミュレーションによる解析の結果、レーザーが照射され高温・高イオン化された状態の領域と、高速電子が伝搬したレーザースポット周辺領域は異なる状態にあり、周辺部は低温でイオン化が進んだ縮退状態の「プラズマ遷移状態」(固体からプラズマへ遷移する過程で現れる中間状態で、固体とプラズマの性質を併せ持つ)であることが突き止められた。

これらの結果は、「高速電子による加熱」=「電子温度の上昇」という従来の考え方と異なり、非平衡プラズマでは、温度とイオン化の上昇が異なり、独立していることが示唆されているという。この知見は、原子核物理計算のモデルの検証などに応用が期待されるとした。

今回の研究では、XFELを用いた超高速撮影により、高強度短パルスレーザーで2種類の高温・高密度プラズマ状態が1兆分の1秒以内に形成されることが解明された。特に、高温プラズマの加熱過程は、レーザーフュージョンエネルギー達成に不可欠な高効率核融合点火を実現する上で、重要な基礎物理過程とする。

さらに、高強度・高エネルギーのレーザーを使用することで、高密度燃料の点火条件に近づくことが期待される。また、今回の研究で開発された計測手法は、圧縮された燃料球のような高密度プラズマの診断に有効で、レーザー核融合や高エネルギー密度科学の一層の発展が期待される。
(波留久泉)



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