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KEKなど、全固体フッ化物電池のイオン伝導メカニズムを原子レベルで解明

マイナビニュース / 2024年9月10日 7時5分

画像提供:マイナビニュース

高エネルギー加速器研究機構(KEK)、J-PARCセンター(J-PARC)、京都大学(京大)、総合研究大学院大学(総研大)、筑波大学、ファインセラミックスセンター(JFCC)の6者は9月6日、革新型蓄電池(ポスト・リチウムイオン電池)の開発において重要なキーマテリアルとなる、全固体フッ化物電池で使用するフッ化物イオン導電性固体電解質「Ca0.48Ba0.52F2」(以下「固体電解質(1)」)のイオン伝導メカニズムを原子レベルで解明したと共同で発表した。

同成果は、KEK 物質構造科学研究所 中性子科学研究系の森一広教授(総研大 先端学術院 物質構造科学コース/茨城大大学院 理工学研究科 量子線科学専攻兼任)、同・ソン・スンヨプ特任助教、同・齊藤高志特別准教授、京大 成長戦略本部の佐藤和之特定研究員、同・福永俊晴研究員(名誉教授)、同・大学大学院 工学研究科の安部武志教授、JFCCの小川貴史主任研究員、同・桑原彰秀主席研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するエネルギー変換と貯蔵に関する学際的な分野を扱う学術誌「ACS Applied Energy Materials」に掲載された。

蛍石型構造を持つフッ化カルシウム(CaF2)やフッ化バリウム(BaF2)は、全固体フッ化物電池において重要な高電圧下での利用が期待されるが、その反面、イオン伝導率が低いことが課題だ。しかし、CaF2とBaF2を原子レベルで混合することで、イオン伝導率が飛躍的に向上することが知られている。たとえば、今回の研究対象である固体電解質(1)の電気伝導率(またはイオン伝導率)は、CaF2とBaF2それぞれと比較すると、3~5桁程度も高かったとする。しかし、CaF2-BaF2系のフッ化物イオン(F-)の分布やその伝導メカニズムは不明のままだったという。

中性子回折は、重元素を含む化合物中の軽元素の位置決定を得意としている。そこで研究チームは今回、CaやBaのような重元素を含むCaF2-BaF2系固体電解質の場合、中性子回折を利用することで、Fの原子位置をより正確に決定できることに着目したとする。また、Fの核密度分布を可視化することができれば、F-のイオン伝導経路を特定することができる可能性も考察したとする。そこで今回の研究では、熱プラズマ法で作製した固体電解質(1)を用いて、中性子回折を用いた実験を行い、本系の原子配列と核密度分布を精密に決定することにしたという。

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