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京大、未知の無機半導体材料のバンドギャップ予測で高速で高精度なAIを開発

マイナビニュース / 2024年9月10日 19時49分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)は9月9日、既知の材料の実測値をもとに機械学習法によって未知の材料の物性値を予測するデータ駆動型のアプローチに立脚し、従来は個別に検討されていたニューラルネットワークを組み合わせた「アンサンブル学習モデル」を提案し、同モデルは、化合物の組成のみからの予測を可能とし、無機半導体材料の「バンドギャップ」について、既存の機械学習モデルの中で最高クラスの予測精度を達成したと発表した。

同成果は、京大大学院 工学研究科の田辺克明教授、同・増田太一学部生(研究当時)らの研究チームによるもの。詳細は、計算材料科学に関する全般を扱う学術誌「Computational Materials Science」に掲載された。

バンドギャップとは禁制帯(幅)とも呼ばれ、半導体材料中に電流が流れ始める電圧値の目安となる物性値のことで、半導体の性質を決める最も重要なパラメータとされる。この性質により、半導体は電子の存在や流れを制御することができ、演算や通信を行えるのである。また光の観点からは、半導体から発せられる光のエネルギーや、吸収される光のエネルギーの下限に相当する。

半導体の性能向上のためには新たな材料開発が重要だが、そのためには、未知の半導体材料のバンドギャップを予測することが重要。半導体材料について、元素の組成や原子の配列の構造(結晶構造)からバンドギャップの値を計算する従来の代表的な方法として、密度汎関数理論に基づく第一原理計算などがあるが、計算コストが高いこと、結晶構造を知り、指定する必要があること(そのため構造が未知のものには適用できない)、基本的に絶対零度の温度における物性予測であるため、実用に則した常温周辺での精度に難があるなどの課題があったという。

そこで近年、既存の材料の実測値を網羅的に収集し、それをもとに機械学習法によって未知の材料の物性値を予測するデータ駆動型のアプローチが盛んに検討されている。研究チームは今回、未知の材料においては原子構造が不明であることから、ニューラルネットワークを用いた、元素の組成のみからの半導体バンドギャップの予測を試みることにしたという。

今回の研究では、従来は個別に検討されていた、「勾配ブースティング回帰」、「条件付き敵対的生成ネットワーク」(CGAN)、「メッセージパッシングニューラルネットワーク」(MPNN)などのニューラルネットワークを組み合わせたアンサンブル学習モデルが提案された。

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