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産総研など、ポストネオジム磁石候補の高性能化を実現する技術を開発

マイナビニュース / 2024年9月12日 15時8分

画像提供:マイナビニュース

日本特殊陶業と産業技術総合研究所(産総研)は9月10日、ポスト・ネオジム-鉄-ホウ素磁石(以下、「ネオジム磁石」と省略)として期待される「サマリウム-鉄-窒素(Sm2Fe17N3)系焼結磁石」(以下、「サマリウム磁石」と省略)を、新規焼結助剤を用いることで高密度化および高性能化できる技術を開発したと共同で発表した。

同成果は、日本特殊陶業と産総研による「日本特殊陶業-産総研カーボンニュートラル先進無機材料連携研究ラボ」によるもの。詳細は、2024年9月19日に大阪大学豊中キャンパスで開催される日本金属学会秋期講演大会および、同年10月11日に名古屋市で開催される産総研中部センターおよびAIST Solutions主催の「未来モビリティ材料」共創フェアにおいて口頭発表される予定。

環境問題的な観点から、モーターのさらなる高効率化・小型軽量化が求められている。永久磁石を用いた磁石埋め込み型(IPM)モーターが多くの高効率モーターに使われているが、電気自動車(EV)用途などでは、そこに高い耐熱性も要求される。現行のネオジム磁石では、耐熱性の確保のために、資源リスクを抱える重希土類元素を用いていることが課題だった。

一方、サマリウム磁石を成すSm2Fe17N3化合物(以下、「サマリウム化合物」と省略)は、ネオジム磁石の主相であるNd2Fe14B化合物と比較して、同等の飽和磁化および3倍程度高い異方性磁界を有し、EV用IPMモーターなどの動作温度域(150~200℃)での耐熱性に優れることから、重希土類元素フリーの次世代永久磁石材料として期待されている。

高い磁石性能、とりわけ高い磁化を得るには、磁石化合物を単位体積当たりにできる限り多く存在させること(緻密性の向上)が必要だ。しかし、サマリウム化合物は620℃程度で分解してしまうため、高温加熱での焼結による作製が難しい。そのため、磁粉を樹脂に練り込んで固めた「ボンド磁石」用の材料として主に見なされてきた。ボンド磁石は絶縁性に優れるため、高回転のモーターに使用されるが、焼結磁石よりも磁粉の充填率が低く、磁化が低下してしまうという課題があったのである。高出力用モーターにどうしても焼結磁石が不可欠なことから、サマリウム化合物本来のポテンシャルを発揮した永久磁石を作製するための新たな焼結技術が求められていた。

産総研は、高加圧通電焼結法を用いたサマリウム化合物の焼結、および低酸素粉末冶金プロセスを用いての保磁力低下のないサマリウム磁石の作製などの研究を進めてきた。一方の日本特殊陶業は、セラミックス焼結技術や粉体・粉末冶金技術を有する。そこで両者は2022年4月1日に連携ラボを設立し、サマリウム磁石の開発を進めることにしたという。

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