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島津製作所が開発した高性能かつ高効率なX線分析装置を体験 - JASIS 2024

マイナビニュース / 2024年9月13日 18時40分

画像提供:マイナビニュース

2024年9月4日から9月6日にかけて千葉県の幕張メッセにて開催された最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2024」にて、島津製作所は最新の分析機器を交えたトータルソリューションを展示していた。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置「ALTRACE」

同社ブースの中でもっとも注目を集めていたのは、開催前日となる9月3日に発表されたばかりのエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)「ALTRACE(アルトレス)」。同装置は、島津製作所のEDX製品のフラッグシップモデルという位置づけで、試料を容器に入れるだけという簡便な前処理で、試料中の無機元素(有害重金属)の種類や量を分析することを可能とした。また、液体から粉末まで幅広い試料に対応しており、その他の無機元素の測定手法と比較しても迅速かつ容易な仕組みとなっている。

食品や飲料水のほか、家具、家電、玩具、そして化粧品などの原材料には有害重金属が微量に含まれており、近年こうした重金属に対する規制強化が各国で進められている。製品の安全性を保っていくため、製造・出荷工程での検査を目的としたEDXの需要は高まりつつあるほか、こうした背景もあり分析装置に不慣れなユーザーが使う場面も増加傾向にあるということで、簡単かつ高感度に測定できるEDX装置が求められていたという。

これまでも有害重金属を分析できる装置はあったものの、分析の感度が悪く、微量の物質を計るのが難しい場合が多かったり、ICP発光分析装置を使っての分析の場合は、硝酸や塩酸で煮る工程が必要となるため危険性があることから敬遠されることが多いほか、最大でも12個までしか連続で分析できず、手間と時間が多くかかったりと課題が多かったとのこと。

今回開発されたALTRACEは、指定の場所に1g~2gの試料が入った容器を入れるだけで自動で分析が開始され、かつ一度に48個の試料を分析することが可能なため、試料数が多い分析でも、研究員の負荷を軽減し作業効率を向上できるという。また、分析にかかる時間もおおむね10~20分程度にまで短縮、長年、分析に携わってきた同社ブースの担当者は昔は2時間くらいかかっていたと振り返っており、大幅な時間短縮が実現されたと言えるだろう。

ではなぜこのような効率化が実現できたのか。その理由は、「X線のパワーを強くしたこと」と「X線光学系と信号処理系の設計を一新したこと」にあるという。ハードウェアの改良によってより多くのデータを取得できるようになったことで、微量の無機元素を高感度で測定できるようになり、従来のEDXでは分析が難しかったカドミウムなどといった重金属の検出下限が向上、測定感度は業界最高クラスに到達したとのこと。ブースでは0.0001%ほどの微量の銀を測定するデモも行われており、その高感度を体感することができた。

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