水蒸気の上に水が存在? 茨城大、シミュレーションでその可能性を発見
マイナビニュース / 2024年9月13日 18時47分
次に、容器の上下端の温度や重力加速度がさまざまに変更された。その結果、液体の浮上する高さが変化することが確認され、その静止する高さは、容器にかかる平均的な温度勾配と重力加速度の比で決まることが解明された。この際、流れる熱流が十分に小さく、上昇気流のような気体の大規模運動は起きていなかったことから、熱の流れだけで重いものを持ち上げていることを意味するとした。
続いて、この浮遊現象が通常の熱流体力学の理論で説明可能かどうかが調べられた。数値シミュレーションでは微小な系の実験しかできないことから、日常サイズのマクロ熱流体に用いる標準理論が解析され、液体の浮遊現象が起こる条件が調べられた。すると、液体が浮き上がる高さは、飽和状態の性質と液体や気体の質量密度と熱伝導率で決まることが判明。理論的に予想される浮遊の高さは、数値シミュレーションの結果と整合していたという。また、液体上の冷たい気体は、液体になるべき温度でも気体のままになっていることもわかったとした。
以上の結果を応用すると、物質を選んで飽和状態を調べれば、重力に逆らって液体が浮き上がるために必要な温度差がわかるという。そこで、地上で飽和状態にある希ガスの液体が、気体上に浮き上がるために必要な温度差が見積もられた。すると、非常にわずかな温度差が予想されたとする。容器壁が分子を吸着しないように設計する必要があるなど、容器の工夫などは必要だが、上昇気流がなくても液体が浮き上がる様子を観測可能であることが予想されたのである。
今回の研究成果は、熱流が生み出す力に関する理解を深める重要な一歩だという。熱流が力を生み出すメカニズムを理解することは、基礎物理学的に重要な課題であり、今回発見された現象は、新しい物質輸送技術やエネルギー効率の向上に向けた応用の可能性を秘めているとする。エンジンで動力を得ると排熱はつきものだが、これを利用して熱流を生成・制御できれば、排熱を使って物質を運ぶ技術を開発できる可能性もあるとしている。
(波留久泉)
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