『東大王』『小5クイズ』終了の厳しい現実――なぜクイズ番組は時代に取り残されてしまったのか
マイナビニュース / 2024年9月18日 11時0分
そして時代の変化をもう1つ物語っているのは、「芸能人が解答者」のクイズ番組に対するテンションの低さ。前述したジャンルやコンセプトの中に“視聴者参加型”を加えられなかったように、解答者が芸能人のクイズ番組ばかり放送されている。
●一般参加のクイズ番組はほぼ消滅
これは「解答者が一般人では視聴率が獲れない」「トークパートで笑いにつなげにくい」「キャンセルやクレームのリスクがある」などの理由があるが、どれも「絶対にクリアできない」というレベルのものではない。事実、1980年代までは一般人が解答者のクイズ番組がほとんどを占めていた。
今秋終了の『東大王』は当初、一般人が東大王チームに挑むという構成だったが、すぐに芸能人チームとの対戦に変わり、2023年に再び一般人参加に挑むが、すぐにまた芸能人チームとの対戦に戻っている。『小5クイズ』も2年前に一般応募枠を採り入れたが、ごく一部のみに留めるなど、消極的な取り組みのみで終わった。ただ、この2番組はまだいいほうで、他のクイズ番組はチャレンジすらしていない。
SNSが発達し、個人の尊重が叫ばれる令和の今、エンタメは「主体性を持って参加できるものであること」が求められている。芸能人に対しても「主体性を持って推す」という時代になり、そうではない芸能人が出演する番組への注目度は低くなった。
また、ゲームやアプリで全国の人々とリアルタイムで対戦できるようになるなどの「クイズを取り巻く状況の変化にテレビが追いついていない」ように見えてしまう。そもそも世間のクイズ熱は冷めるどころか、一定の盛り上がりを保っている。クイズのゲームやアプリが流行してからすでに10年以上が過ぎ、高校・大学のクイズ部だけでなく社会人のクイズイベントなども活況。象徴的な存在のQuizKnockはYouTube登録者数233万人(9月18日現在)を数える。
しかし長年クイズというジャンルを支えてきたテレビは、そんな時代の変化に対応できていない。「リアルタイム視聴をベースにしたビジネスを変えられない」ことと同じように、クイズ番組をアップデートできないまま現在に至っている。今秋の『東大王』『小5クイズ』の終了は、その象徴的なニュースなのかもしれない。
○特番は活況だがレギュラーは厳しい
では、「テレビのクイズ番組に未来はないのか」と言えばそんなことはないだろう。
まず前述したように、クイズを楽しんでいる人の数は少なくない。むしろ移動中や休憩中などに楽しむ身近なものになったという人もいる。しかし、彼らにとって「自分もあの番組に出てみたい。だから見てみよう」と思わせるクイズ番組はなく、そんな人々を取りこぼしているのではないか。
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