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日欧の水星探査機「ベピコロンボ」が水星スイングバイ、エンジン不調の影響は?

マイナビニュース / 2024年9月17日 19時46分

ところが、4回目の水星スイングバイに向けた最中の今年4月、MTMのイオンエンジンに問題が発生し、所定の推力で噴射できなくなってしまった。ESAのエンジニアたちが調査したところ、MTMの太陽電池と、その電力を探査機の各所に分配する装置との間に、予期しない電流が流れていることが確認された。これにより、イオンエンジンに供給される電力が減ったことで、推力が低下したとみられている。

その後、数か月にわたる分析の結果、このままの推力では、当初目指していた2025年12月の水星到着はできないと判断された。それと並行して、ESAはミッションを継続する方法を検討し、その結果、低い推力でも水星に到達できる新しい軌道が考案された。

水星到着は11か月遅れの2026年11月になるものの、到着後は、予定していた科学ミッションをほぼすべて実施できるという。

4回目の水星スイングバイ

そして 、ベピコロンボは4回目の水星スイングバイに臨んだ。協定世界時9月4日21時48分には、ベピコロンボは水星の表面から高度165kmのところを通過した。これは、もともと予定されていたスイングバイの最接近距離(水星表面からの最低高度)よりも35km低く、怪我の功名ながら、ベピコロンボにとって、そして水星探査の歴史上でも、最も水星に近づいた例となった。

また、スイングバイ中には、ベピコロンボは初めて水星の南極を観測した。NASAのメッセンジャーも南極を観測したことはあったが、ベピコロンボはそれよりはるかに近づいた。

水星は太陽に近いため、最大で400℃にもなる灼熱の惑星だが、南極と北極には太陽の光が一切当たらない「永久影」が存在し、そこには水が存在している可能性もある。ベピコロンボは、試験を兼ねて観測機器を動かし、スイングバイ時に観測を行っており、今後その観測データの分析が待たれる。

ベピコロンボは今後、MTMのイオンエンジンを10月まで噴射し、2024年12月に5回目の水星スイングバイを、そして2025年1月に6回目にして最後の水星スイングバイを行うことを予定している。

そして、2026年11月には化学推進エンジンを噴射して、水星を回る軌道に入り、MTMとMPO、「みお」が分離される。2027年の初めには、それぞれ科学観測を開始し、2028年4月まで、約1年間の探査活動を行う。また、その後も探査機の状態が正常なら、延長ミッションとして2029年4月まで活動できる可能性もある。

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