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都立大など、細胞が外部シグナルをDNAにまで伝える過程を分子レベルで解明

マイナビニュース / 2024年9月17日 20時19分

画像提供:マイナビニュース

東京都立大学(都立大)、理化学研究所(理研)、科学技術振興機構(JST)の3者は9月13日、細胞が外部からの信号を正確に受け取り、それをDNAに伝える過程を支える重要なタンパク質の「GRB2」と「SOS1」がどのように結びつき、体内のさまざまな過程を調整しているのかを分子レベルで解明したと共同で発表した。

同成果は、都立大大学院 理学研究科の館野圭太大学院生(研究当時)、同・菅澤はるか研究員、同・池谷鉄兵准教授、同・伊藤隆教授、理研 生命機能科学研究センターの美川務専任研究員らの共同研究チームによるもの。詳細は、英国王立化学会の機関学術誌「Chemical Science」に掲載された。

細胞が外部からのシグナルを受け取ってDNAに正確に伝える過程は、「細胞内シグナル伝達」と呼ばれる。その過程の上流で中心的な役割を果たすのが、GRB2やSOS1など。GRB2は細胞膜にある受容体からシグナルを受け取り、それをSOS1に伝達。SOS1はそれを分子「RAS」に伝え、最終的に核内のDNAにまで情報を伝達することで、細胞はそれに応じた反応を引き起こすのである。しかしこれまで、GRB2とSOS1がどのようにタンパク質間の相互作用を起こし、外部からのシグナルがDNAにどのように伝わるのか、その詳細は十分にわかっていなかったという。

また近年、GRB2とSOS1は液液相分離現象を起こすことで、シグナル伝達の制御をより精密に行っている可能性が示唆された。しかし、両タンパク質がどのように集合と離散を起こし、巨視的な液滴の形成と消失を起こしているのかについては、分子・原子レベルでほぼ未解明だったとする。その理由の1つは、両タンパク質が通常よりも柔らかな領域を広く持つために、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡などの一般的に活用されている解析法の適応が難しかったためだ。そこで研究チームは今回、この未解明の過程を分子レベルで解明し、細胞内シグナル伝達の全体像をより明らかにすることを目指すことにしたという。

今回の研究では、運動性が大きく柔らかな領域を持つタンパク質においても、それらの構造や運動性の大きさと速度の解析が可能な核磁気共鳴スペクトル法(NMR)が用いられ、GRB2やSOS1の相互作用の様式や強さが詳細に解析された。また今回は、NMRデータから分子間結合の強さを、最も可能性のある結合モデルを選択して値を推定するという、新たな計算手法も開発された。

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