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京大など、ドーパミンなどの輸送に重要な膜タンパク質の立体構造を解明

マイナビニュース / 2024年9月19日 6時24分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)、岡山大学、大阪大学(阪大)、京都工芸繊維大学(京工繊)の4者は9月17日、ヒトの神経細胞末端において、細胞質からシナプス小胞にモノアミン(ドーパミン、セロトニン、ヒスタミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質)を輸送する重要な膜タンパク質である「小胞型モノアミントランスポーター2」(VMAT2)の立体構造を、クライオ電子顕微鏡法(cryo-EM)を用いて原子レベルで解明することに成功したと共同で発表した。

同成果は、京大大学院 医学研究科のイム・ドヒョン助教、同・Mika Jormakka特定准教授、同・浅田秀基特定准教授、同・岩田想教授(理化学研究所 放射光科学研究センター グループディレクター兼任)、岡山大 自然生命科学研究支援センターの樹下成信助教、同・宮地孝明研究教授、阪大 蛋白質研究所(IPR)の加藤貴之教授、京工繊 応用生物学系の岸川淳一准教授、京大 医生物学研究所(LiMe) の野田岳志教授、同・杉田征彦准教授(京大 白眉センター兼任)らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

シナプス間のギャップで活躍する神経伝達物質は、VMAT2の働きによってシナプス小胞内に貯蔵・運搬され、シナプス間隙への開口放出に備えることが可能になる。中枢神経疾患の治療において重要なVMAT2阻害薬は、VMAT2の特定認識部位に結合することでその機能を抑制し、神経伝達物質の小胞内吸収を抑制する。そして、シナプス小胞内への神経伝達物質の貯蔵を妨げ、開口放出による神経伝達物質の分泌量が減少することで、シナプス間隙における神経伝達物質の濃度を減らす仕組み。

そのため、VMAT2は重要な創薬標的分子とされているが、現在上市されているVMAT2用治療薬は、神経伝達物質の過剰な抑制による副作用も指摘されているという。そこで研究チームは今回、VMAT2の基質輸送機構および阻害薬の阻害機構の分子基盤を解明し、より効果的な治療薬開発に資する構造情報の取得を目指すことにしたとする。

今回、スクリーニング測定用としてLiMeの「Glacios cryo-TEM」(加速電圧200keV)を、本測定にはIPRの「Titan Krios cryo-TEM」(加速電圧300keV)を用いた、2台のcryo-EMによる効率的な構造決定法が確立された。さらに、cryo-EMによる膜タンパク質の構造解析をより体系的に行うツールとして、VMAT2の立体構造を特異的に認識する抗体が作製された。

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