京大、Ia型超新星の爆発メカニズムを「デトネーション」を用いて解明
マイナビニュース / 2024年9月20日 12時57分
京都大学(京大)は9月18日、「Ia型超新星爆発」において、それを引き起こす「デトネーション(爆轟)」と呼ばれる超音速で伝播する核融合燃焼の火炎と、同名の化学燃焼において超音速で伝搬する火炎(燃焼波)との理論的な共通点の多さに着目し、化学燃焼実験に裏付けられたデトネーション予測の理論を用いることで、同超新星の爆発モデルを検証できることを示したと発表した。
同成果は、京大大学院 工学研究科 機械理工学専攻の岩田和也特定助教、同・大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻相関重力基礎論講座の前田啓一教授の共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学会が刊行する機関学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。
Ia型は、質量降着などにより白色矮星の質量が太陽の約1.46倍を超えた結果、暴走的な核融合反応が起きることで生じるタイプの超新星爆発。同超新星の明るさや元素の生成量は、核燃焼によって駆動されるデトネーションが発生すると仮定すると、よく説明できるという。しかし、そもそも同超新星においてデトネーションが起きるのかどうかなど、そのメカニズムを結論づけるための根本的な問題が未解明だったとし、化学燃焼によるデトネーションについては研究が進んでいたが、その確立された理論を同超新星のデトネーションに応用した研究は存在していなかったとのこと。
そこで研究チームは今回、デトネーションの点火・消失に関する化学燃焼の理論をIa型超新星の爆発モデルの検証に応用することを提案。その第一歩として、近年、同超新星の爆発シナリオの有力候補の1つとして注目される「ダブル・デトネーション(DD)モデル」をターゲットとすることにしたという。
DDモデルは白色矮星の表面で1回目、中心で2回目のデトネーションが引き起こされて爆発に至るというシナリオであるが、1回目がそもそも着火するのか、消失せずに発達・伝播するのか、それらの条件は何かという点が未解明とのこと。同モデルに基づく白色矮星規模の大領域のシミュレーションにおいては、デトネーションの取り扱いや解像度次第で結果が大きく変わってしまっており、それに対する理論的な考察も十分ではない状況だったとする。
そこで今回の研究では、デトネーションに伴う「セル(うろこ)構造」に着目することにしたという。同構造はデトネーションの最小単位というべきもので、工学分野においては、そのサイズを基にデトネーションの点火・消失を予測する理論が確立され、化学燃焼実験の結果を良く説明できている。
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