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大人のインフラ紀行 第2回 ダイナミックな人工瀑布 - 首都圏最大級「宮ヶ瀬ダム」の観光放流は、一大エンターテインメント

マイナビニュース / 2024年9月25日 11時30分

でもその日はその日で、台風によって著しく増水したダム周辺の特殊な光景を見ることができたので、まあ怪我の功名でもあった。
○台風の影響で観光放流が中止になった日に見られたレアな光景

観光放流が中止になったその日、僕はそれでもダム周辺を見ておこうと思い、堤体の上から下流方向を見渡してみた。156メートルの高みから見下ろす景色は、目がくらみ、足がすくむほどの迫力だった。

しかし、それ以上に驚かされたのは、ダムの下を流れる川の様子だった。

水位は、両岸の木の葉が浸かるほどまで上昇していた。さらに特異に感じたのは、その水の色だ。

黄土色でもなく、ベージュでもなく、クリーム色でもない。うっすらと緑がかかったような、どこか曖昧で独特な色合いで、日本の川ではあまり見かけないものだった。

なぜ増水した川がこのような色になるのか、僕には推測できなかったが、その異様な色の蛇行する川は、まるでアマゾンの奥地を流れるそれのようで、非常に不思議な光景だった。

その川の先には、石小屋ダムという小規模なダムがある。

正式名称は「宮ヶ瀬副ダム」で、名の通り宮ヶ瀬ダムに付随し、放流水を調整して下流の急激な水位上昇を抑える役割を担っている。

「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」のスタッフによれば、この石小屋ダムでは今日、非常に珍しい光景が見られるとのことだった。

通常、石小屋ダムは川の水を堰(せ)き止めて流量を調整しているが、現在は川が異常に増水しているため、ダムの堤を超えて水が常に流れ落ちる「越流」という状態になっているという。

宮ヶ瀬ダムの上からエレベーターでダム下まで降り、そこから歩いて10分ほどで到着した石小屋ダムでは、確かに水が勢いよく流れ落ちていた。

なかなかの迫力だ。

ただ、僕にとっては初めての訪問だったため比較のしようがなく、これがどれほどレアな光景なのかはわからなかった。

だが4日後に宮ヶ瀬ダム放流見学リベンジのため再訪した際には、石小屋ダムの水は流れていなかったので、やはり貴重な瞬間を目にすることができたのだと思う。

4日後、日曜日のダム周辺は、川の水もかなり引き、落ち着きを取り戻しつつあった。

しかし、川の色だけは、まだ元に戻っていない。時間がたてばすべて元通りに戻るのだろうが、限られたときにしか見られない自然とインフラの織りなす光景が、僕の頭に強く刻まれた。

さまざまな楽しみ方ができる宮ヶ瀬ダム。
ぜひ一度は訪れてみることを、強くおすすめする。

佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京⇆山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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(佐藤誠二朗)



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