森口将之のカーデザイン解体新書 第65回 「500e」と何が違う? フィアット「600e」のデザインを分析
マイナビニュース / 2024年9月24日 17時0分
インテリアは円形のメーター、2本スポークのステアリングなどを初代600からフィードバックしたとのアナウンスがあった。ただ、これらのディテールは500eにも受け継がれている。センターに角型のディスプレイを置き、シフトレバーはなく、ディスプレイ下のボタンで前進や後退を選ぶ方式も500eと同じだ。
シートは2トーンで、これも初代600で採用していたコーディネートだ。ステッチやロゴのライトブルーも目立つ。イタリア車らしいしEVらしくもある、絶妙なアクセントだ。
500eとの違いとしては、乗車定員が4名から5名になったことがある。荷室が広いこともアピールポイントのひとつで、500や500eはもちろん、500Xをも上回る360リッターをマークしている。
発表会でルボワンヌ氏が何度か口にしたフレーズに「ドルチェヴィータ」があった。直訳すれば「甘い生活」だ。EVであっても、ライバルとは違うクルマにしたいという思いのこもった言葉である。その結果として選んだのが、初代600が備えていた優しい丸みだったようだ。
日本ではBセグメントのEVが増えてきて、競争が激しくなりつつある。最近は韓国や中国の車種も日本に参入してきている。そんな中でも600eは、多くの人がひと目でイタリアのフィアットだと識別できるデザインになっている。
一方で、充電環境などが理由でEVには手を出せないという人のためには、本国では発売済みのマイルドハイブリッド仕様を2025年にも追加予定だという。5ドア5人乗りという使い勝手の良さを含めて考えれば、600/600eは500/500eに匹敵する人気を得るかもしれない。
森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら
(森口将之)
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