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名大、生息環境を汚さず生存率を上げるフンをしないオタマジャクシを発見

マイナビニュース / 2024年9月26日 20時3分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)は9月25日、石垣島や西表島、台湾に生息する「アイフィンガーガエル」が、幼生(オタマジャクシ)の間はフンをしないことを発見したと発表した。

同成果は、名大大学院 理学研究科の伊藤文 特別研究学生、同・岡田泰和教授らの研究チームによるもの。詳細は、米国生態学会が刊行する生態学に関する全般を扱う学術誌「Ecology」に掲載された。

アイフィンガーガエルの幼生は、天敵が少ない、木の洞や竹の切り株などの樹上の小さな水場で育つ。このカエルは日本で唯一の子育てをするカエルであり、父親が卵を乾燥や天敵から守り、母親は自身の無精卵を幼生にエサとして与え、幼生は成体になる。母親が卵という形で水場の外からエサを運んでくることで、エサの少ない小さな水場でも幼生が生きていけると考えられている。

しかし小さな水場には、エサ以外にも重要な、窒素化合物の排出(排泄)の問題もある。動物の生息環境と排泄には密接な関係があり、一般的に水棲の硬骨魚類や両生類の幼生は、窒素化合物をアンモニアに代謝し、それを便と共に排出する。アンモニアは有毒だが、周囲に大量の水があることで、迅速に希釈される。それに対し、陸生の両生類の成体やほ乳類は、周囲に利用可能な水が少ないため、窒素化合物を無毒な尿素に代謝して排出している。

しかし、アイフィンガーガエルの棲息する小さな閉鎖環境では、排出したアンモニアを希釈することは叶わない。仮にアンモニアを排出してしまうと、それが環境中に蓄積し、幼生の生存率を低下させてしまう危険性がある。そこで研究チームは今回、アイフィンガーガエルがどのようにしてその問題を解決しているのか、より詳しく調べることにしたという。

これまでの飼育観察から、アイフィンガーガエルの幼生は、変態するまでに固形の便をせず、腸内に固形の便を溜め込んでいることが確認されていた。研究チームはその事実から、アイフィンガーガエルの幼生は排便せず、アンモニアの排出量を減少させることで、小さく閉鎖された水場における汚染を避け、生存上有利な、独自の衛生戦略を獲得しているという仮説を立てたという。

そこでまず、アイフィンガーガエルの幼生がどれほどの量のアンモニアを環境中に排出しているのかに着目したとする。アイフィンガーガエルと他のカエル(ニホンアマガエル、ヤマアカガエル、モリアオガエル)の幼生を同じ体積(20ml)の蒸留水中で飼育し、時間経過と共に飼育水中のアンモニア濃度がどのように変化していくのかが測定された。その結果、アイフィンガーガエルの幼生は環境中に排出するアンモニアの量が他種に比べて非常に少ないことが確認された。

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