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大阪公大などが光合成メカニズムの完全解明に向けて前進、構造解析に成功

マイナビニュース / 2024年9月30日 23時47分

画像提供:マイナビニュース

大阪公立大学(大阪公大)と大阪大学(阪大)は9月27日、光合成のメカニズムを解明するため、「in vitro再構成法」を駆使して「LHCII」に人工的な変異を入れて作製した「rLHCII」の三量体の3次元構造をクライオ電子顕微鏡を用いて高分解能で解析した結果、rLHCIIがLHCIIと実質的に同一の構造を示すことを明らかにし、LHCIIの研究において前進を果たしたことを共同で発表した。

同成果は、大阪公大 人工光合成研究センターの藤井律子准教授、関荘一郎 JSPS特別研究員(現・阪大 蛋白質研究所所属)、阪大 生命機能研究科の難波啓一特任教授(常勤)、阪大 蛋白質研究所の栗栖源嗣教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国科学アカデミー紀要「PNAS」の姉妹誌で科学の幅広い分野を扱う学術誌「PNAS Nexus」に掲載された。

LHCII(Light-harvesting complex II)は主に光化学系IIに結合するアンテナであり、太陽光を吸収し、そのエネルギーを効率良く集めることのできる色素タンパク質複合体。LHCIIの単量体の中には、クロロフィルやカロテノイドといった18種類もの色素(分子)が詰め込まれており、光合成のメカニズムを完全解明するためには、それぞれの色素が持つ光学特性を特定する必要がある。しかしその構造の複雑さから、LHCIIに結合する色素の機能はこれまでのところ解明されていなかった。

その困難さを打破する上で極めて効果的な手法とされるのが、in vitro再構成法。同手法は、大腸菌で人工的に合成させたタンパク質と、植物の葉から抽出された光合成色素を試験管内で混合することにより、rLHCIIを生成するという手法である。タンパク質の特定の部位に変異を入れたり結合する色素の組成を変化させたりと、LHCIIの構成要素を幅広くデザインできることから、LHCIIの機能の本質を担う構成要素を明らかにできると期待されている。

これまで長年にわたってin vitro再構成法を用いて、対象となる色素の特徴を解明しようとする研究が続けられてきた結果、rLHCIIにおける色素を取り巻く環境を推定することには成功していた。しかし、rLHCIIの立体構造についてはまだ明らかにできておらず、デザインした通りに構造が再現されているのかが不明だったとする。そこで研究チームは今回、rLHCIIの構造解析に挑むことにしたという。

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