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東大、サケ稚魚がコスパよく泳ぐための水温と遊泳能力の変化を解明

マイナビニュース / 2024年10月1日 6時30分

今回の実験では、水槽馴致後に徐々に速度を上昇させ、臨界遊泳速度と、各流速で遊泳している時の「総酸素消費速度」が計測された。なお臨界遊泳速度とは、尾びれを振りつづけながらの遊泳速度の最大値のことで、同速度が高いほど、持続的な遊泳能力が高いとされている。また総酸素消費速度とは、休息時と遊泳時の両方の酸素消費速度の合計を表す。

計測の結果、臨界遊泳速度は体重増加と共に高まり、体重2g時の速度は、岩手県沿岸を南下する海流の流速を超えていたという。つまり稚魚は、海流に逆らうことのできる遊泳能力を獲得してから岩手県沿岸域を離れ、北上回遊を開始することが推測されたのである。

また、8~12℃の水温範囲内で体重が増加すると、魚1個体が一定距離を遊泳する時の酸素消費速度である「総遊泳コスト」は水温8℃、体重2g時に比べ50~56%低くなった。同コストは、値が低いほど遊泳効率が高いとされる(総酸素消費速度、体重、臨界遊泳速度から算出される)。岩手県沿岸域では水温12℃を超えるころ、稚魚の分布がほぼ確認されなくなることが報告されており、海水温が高くなるまでに沿岸域で成長することは、海流に逆らい、北方海域までの長距離回遊を遂げる上での大きなメリットになることが考えられるとした。

将来の気候変動に伴い、サケの分布域はより低水温の高緯度域へと移動する可能性が指摘されている。水温と体のサイズに応じた遊泳能力の変化を捉える今回の研究手法を、北海道、カナダやアラスカなど高緯度域でのサケ研究にも適用することで、北太平洋の環境変化に対するサケ資源の応答予測と管理につながることが期待されるとしている。
(波留久泉)



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