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広島大、ダークマターを観測するための「遠方誘導崩壊反射法」を発案

マイナビニュース / 2024年10月2日 6時32分

画像提供:マイナビニュース

広島大学は9月30日、地球などの惑星の重力を利用して「ダークマター」(DM)の様子を映し出して観測する将来計画「惑星重力レンズDM望遠鏡構想」を実現するための、宇宙空間を伝播する電磁波により、遠方の軽いDM候補を光へと強制的に崩壊させ、その反射光を手元で捉える「遠方誘導崩壊反射法」を発案したことを発表した。

同成果は、広島大大学院 先進理工系 科学研究科の本間謙輔准教授(高エネルギー加速器研究機構 量子場計測システム国際拠点兼務)によるもの。詳細は、理論物理学および実験物理学を扱った学術誌「Journal of High Energy Physics」に掲載された。

これまで、DM候補の探索には、主として磁石を使って、磁場を介してDM候補を光子へと変換し、その光子を観測する手法が取られてきた。この場合、静止する磁場内に、偶然DMが入射するまで待ち続けることになるため、この手法で感度を上げるには、強い磁石を巨大化し、DMに触れられる体積を大きくするしかなかった。そこで、研究チームは今回、未知の素粒子である「アクシオン」や、それに類似した「アクシオン類似粒子」など、宇宙空間を漂う、崩壊し得る軽いDM候補を一般的に探索する新手法を提案することにしたという。

仮に磁石を光速で長距離移動させることができたのなら、その実効的体積は桁違いに増大することになる。磁石を光速で動かすのは実際には無理だが、その代わりに電磁波を飛ばすことによって置き換えることはできる。レーザーやマイクロ波のような位相の揃った電磁波を宇宙空間に放った場合、その光によりDM候補を長距離にわたって誘導崩壊、つまり、まれにしか崩壊しないDMを強制的に崩壊させられる可能性があるという。

この時、もしDMが静止している場合には、運動量の保存(作用反作用)から2つの崩壊光子が正反対に出る。片方の光の方向を指定するのは、誘導用の電磁波の進行方向なので、もう片方の崩壊光子は、鏡に反射したように誘導用電磁波の発射された方向に戻る形で放出されることになる。もし、パラボラミラーのごとく鏡の面を球面に変えられるとすると、1か所に反射光を集光させられることになる。レーザーのような位相の揃った光を宇宙空間で集光後発散させておくと、その集光点から少し離れた所ではほぼ球面状の伝播になる。その球面状光波で誘導崩壊させられた光子は、その発生点だった集光点に必ず戻ることになるという。

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