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ローイング競技の動作を高精度測位技術で解析! NTT東日本開発の最新スポーツテックを見てきた

マイナビニュース / 2024年10月23日 7時0分

これによって、選手やコーチは1回ごとに客観的なデータを使った分析ができます。特に8人の息を合わせる必要があり、舵手の指示が重要になるエイトの場合、その指示を振り返るためにも客観データの分析が貢献できそうです。

さらに今回は、小型PCと受信機、モバイルWi-Fiルーターを使って計測を実施。RTK測位ながら10万円前後の低価格でコンパクトに仕上げました。実際、ボートに装着した宮浦選手も、重量を含めて競技に支障はなかったと話します。

宮浦選手によればエイトの場合、舵手1人と漕ぎ手8人で「感覚のすり合わせをする」と言います。これはそれぞれの漕ぎ方の息を合わせるために必要な感覚ですが、これまで通常の衛星測位だけだと1分間のペースとスピードだけが分かるだけだったそうです。

しかしRTK測位を利用した今回の仕組みだと、0.1秒単位の速度変化が分かり、カメラでも分からなかった蛇行の様子も計測できることで、感覚のすり合わせがしやすくなっているそうです。

実際のジャパンオープンレガッタにおけるレース中の動作分析を実施したところ、目視や動画像では追えない微細な速度変化が可視化され、レース後の30分以内に分析結果も表示されるため、「レースの記憶が鮮明なうちに分析ができた」と宮浦選手も話します。

もともとローイングにおけるテクノロジーの活用はあまり進んでいないと言います。海外の強豪国ではタブレットを設置したり、同様のデバイスを船上に取り付けている国もあるそうで、日本代表もオールにかかる圧力を測るセンサーを使っているそうです。

ただ、こうしたテクノロジーは日本国内ではまだ浸透しておらず、さらにこれまでは速度を測る場合も水中にプロペラを付けて回転数で速度変化を計測していたため、センチメートル単位の誤差で位置を測定して微細な速度変化も記録できるような技術は、代表チームレベルでも測定できていないそうです。

現状はローイング向けの設計ですが、今後はほかの水上競技での展開や地上スポーツでも自転車競技のダウンヒルなどでは活用できるとみているそうです。また、ドローンなどにも応用できるとして、スポーツテックだけではない展開も検討していきたい考えです。

今回のローイング競技向けRTK高精度測位技術が開発された背景には、NTT東日本埼玉南支店埼玉エリア統括部サービスセンタの武田哲士氏がきっかけだったと言います。実は武田氏は学生時代にボート部に所属しており、部内のデータ分析のために開発をしたのがスタートでした。

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