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吉川明日論の半導体放談 第314回 半導体サプライチェーン確保に動くUAEとグローバルファンドリーズ誕生秘話

マイナビニュース / 2024年10月3日 7時15分

「技術を持つAMD」と「資金を持つMubadala」、一見単純に結びつきそうな組み合わせだが、実際のビジネス締結までにはなかなか至らなかった。というのも、Mubadalaには世界中から技術主導の案件が舞い込んでいて、それを捌く中間管理職の審査で滞ってしまい先に進まない。そんな中、ヘクターの秘密プロジェクトの一員だったヨーロッパ担当の役員が、当時AMDがスポンサーしていたF1のフェラーリチームの社長とのランチの際に相談した。「なかなかUAEの中枢に達することができないのだが、何かいい案はないか?」。

すると、フェラーリチームの社長は「ちょっと待ってね」と言って席を立って、10分ほどすると戻ってきて、「いま携帯電話でUAEの皇太子と話したんだが、Mubadalaは興味があるらしいよ。後はよろしく」、と言ってランチを終えた。その後話がトントン拍子に進んでAMDのドレスデン工場を基軸とするグローバルファンドリーズ社の2009年の設立に至ったという話だ。
国際投資の条件が厳しくなる今後の半導体業界

これらはもう20年近くも前の話になる。今日の経済ブロック化を考えると、半導体に代表される先端技術移転の案件には政治的な要素が付きまとう。政府が安全保障上の理由で介入するので、トップ同士の話では決まらない。報道によれば、UAE国内への半導体工場建設に対して豊富な水の確保を政府が約束したという。高度な人材確保も大きな課題である。益々不安定になる米国と中東諸国の関係も微妙に変化している。

半導体企業CEOのかじ取りはさらに難しくなる。

吉川明日論 よしかわあすろん 1956年生まれ。いくつかの仕事を経た後、1986年AMD(Advanced Micro Devices)日本支社入社。マーケティング、営業の仕事を経験。AMDでの経験は24年。その後も半導体業界で勤務したが、2016年に還暦を機に引退を決意し、一線から退いた。 この著者の記事一覧はこちら
(吉川明日論)



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