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産総研、ペロブスカイト太陽電池の自動作製システムを開発し研究加速に貢献

マイナビニュース / 2024年10月3日 7時2分

画像提供:マイナビニュース

産業技術総合研究所(産総研)は10月2日、その柔軟性や軽量性から次世代の太陽電池として期待される“ペロブスカイト太陽電池”のセル作製工程を自動化することで、性能向上に向けた材料開発の加速に貢献する自動セル作製システムを開発したことを発表。同日には記者見学会を開催し、自動でのペロブスカイト太陽電池セル作製工程の一部を公開した。

○ペロブスカイト太陽電池の開発加速に取り組む産総研

カーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーに対する社会的要請が高まっており、その1つである太陽光発電を行うため、主に太陽光パネルを設置しやすい平地において導入が進んでいる。しかし、現在主流となっている結晶シリコン太陽電池パネルは、発電部位のシリコンウェハが割れやすいことからガラスで保護する必要があるため、10kg/m2以上と重量が大きく、その設置場所が限られるという課題が残されている。

その課題を解消する新たな手段として期待されているのが、ペロブスカイト太陽電池だ。同電池は、印刷技術などを駆使して原料溶液を印刷することでフィルム形状で作製でき、薄型かつ軽量で曲げなどの歪みに強いという性質を持つ。その特性により1kg/m2程度までの軽量化も可能だといい、実現すれば、これまで耐荷重面での制約から太陽電池の設置が難しかった工場・倉庫などの壁や窓も発電場所として活用できると期待されている。また産総研によれば、ペロブスカイト太陽電池は原料や製造方法が従来の太陽電池とまったく異なるため、新たなサプライチェーンや産業の構築につながる可能瀬もある。

こうした背景から早期の実用化が期待されているペロブスカイト太陽電池だが、現状では発電効率と耐久性の面で課題が残されている。そのため産総研ではこれまで、高効率化および高耐久化に向け、ペロブスカイト組成の改良や新規材料開発、材料成膜技術の進化などを目指してきたとのこと。さらに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金」に採択された事業として、次世代型ペロブスカイト太陽電池の実用化に資する共通基盤技術開発を推進してきたといい、その成果として自動作製システムの構築に至ったとする。
○多くの条件に左右されるセル作製を自動化し効率向上

今回発表された自動作製システムは、基板電極の洗浄に始まり、電子輸送層・ペロブスカイト層・正孔輸送層の各種材料の積層、裏面電極の蒸着、セルの分離までの全工程を自動で行うもの。この装置を活用することで、1日あたりのセル作製数を従来の10倍程度まで増加させることが可能だとする。ただし、産総研 ゼロエミッション国際共同研究センター 有機系太陽電池研究チームの村上拓郎研究チーム長によると、このシステムの自動化は太陽電池の量産を目的とするものではなく、研究開発におけるセル作製スパンの効率化に寄与するものだという。

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