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大河原克行のNewsInsight 第333回 NECの次期GIGAスクール端末にいくつかの戦略転換、鮮明なChromebookシフト

マイナビニュース / 2024年10月7日 15時39分

周辺サービスの追加は、第1期と第2期では、求められる要素が異なる点が背景にある。

NECの加藤氏は、「第1期は、これまで経験がない学習者用端末の1人1台の整備が優先され、ネットワークや充電保管庫などの使用環境を最初から整備する学校が大多数だった。さらに想定外の使用環境により、トラブルが多発し、それへの対応が求められた」とする一方、「第2期は、すでに環境が整っているなかで、学びを止めないスムーズな入れ替えが求められ、同時に学習状況の見える化と利活用が重要となっている。さらに、県による共同大量調達への出荷対応や、既設端末のリユースや処分の問題にも対応する必要がある。この点では、すでに多くの問い合わせがある」とする。

現在の教育現場の状況を捉えた周辺サービスを整備したというわけだ。

だが、NECでは、GIGAスクール構想第2期に向けて、いくつかの戦略転換が見られる。

ひとつめは、Chromebookへのシフトが鮮明になったことだ。

NECでは、GIGAスクール構想第1期では約160万台のPCを出荷したが、これはWindowsとChromebookを合計した数字だ。それに対して、第2期では、Chromebookだけで、2028年度までに200万台の出荷を目指すことになる。

NECでは、第1期のChromebookの出荷台数を明らかにしていないが、約7割がChromebookと見られており、そこから逆算すると第2期のChromebookの出荷台数は、第1期との比較で約1.8倍の出荷規模が想定される。教育現場におけるシェア拡大という点でも意欲的な数字だ。

NECでは、今後、GIGAスクール構想第2期向けのWindows PCを「VersaPro Eシリーズ」として投入する予定だが、Windows PCの出荷比率は縮小することになりそうだ。

2つめは、端末の入れ替え時のサービスを強化した点だ。

先に触れたように、既設端末の引き取りや買い取り、出荷前のキッティング、予備機運用サービスなど、新たな端末を導入する際の現場での困りごとを解決することで、シェア拡大を図ることになる。

しかし、これらのサービスを強化する一方で、これまで提供してきたサービスを停止している。

NECでは、第1期においては、独自の学習eポータルである「OPE (Open Platform for Education)」を展開し、学習者向けの専用IDを拡大することで、端末の利用促進などにつなげ、これを差別化要素のひとつにしてきた経緯がある。だが、同社では、2024年に入ってからOPEの新規受付を停止し、さらに現在の契約者についても、2024年度中までをサポート期間としている。GIGAスクール市場における大きな戦略転換といえる。

また、第1期では、クラウド教育プラットフォームの提供や、端末設定ツール、学習用プログラミング教材などをセットにした「GIGAスクールパック」を提案していたが、今回はこうしたパックは用意していない。第1期において、すでに導入が一巡したツール群でもあり、こうした点からも、第2期ならではのニーズを捉えて、端末の入れ替え時のサービス強化を図ったことがわかる。

「現場の声を反映した安全性と堅牢性、耐久性を強化」と、「生徒の学びを止めないスムーズな入れ替え」が、NECのGIGAスクール構想第2期におけるキーワードとなりそうだ。この施策が、教育分野におけるNECのシェア拡大にどうつながるかが注目される。
(大河原克行)



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