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窓辺の小石 第188回 ザ・ボーン・アイデンティティー

マイナビニュース / 2024年10月18日 12時0分

同じ頃、カリフォルニア大学のバークレー校でVersion 6 UNIXをベースに同校独自のプログラムが追加され、アドオンとして配布が開始されたのがBSD(Berkeley Software Distribution)の始まりである。のちにBSDは、カーネルを含むUNIXのバリエーションとなる。このBSD用に作られたのが、C Shell(1978年)である。C Shellは、Thompson Shellをベースに作られたというが、C言語を手本にした文法を持つなど、Marshy ShellやBourne Shellと同じ方向性を持っていた。

これを始まりとして、AT&Tの商用UNIXではBourne Shellがベースになり、BSD系UNIXでは、C Shell(csh、のちにtcshとなる)が主流になった。C Shellは、コマンドラインの機能充実も行われ、ヒストリ機能やファイルパスの補完、コマンドラインから複数プロセスを制御するジョブ制御機能などが搭載された。C Shellの“C”は、C言語を意味し、C言語風のスクリプト文法を持つ。ただし、コマンドラインで波括弧を別の意味で使っているため、C言語のようにブロック構造には使えなかった。たとえば、IF文は「if-then-else-endif」という形式で、あくまでもC言語風だった。

このC Shellの対抗馬としてAT&T(ベル研究所)で作られたのが、Korn Shell(1983年)である。Bourne Shellをベースに、C Shellのヒストリ機能、ジョブ制御機能などを取り込み、さらにEmacsやvi風のキー割り当てでコマンドラインの編集を可能にした。しかし、Bourne ShellやKorn Shellは、当初はクローズソースの専用ソフトウェアでAT&Tの商用UNIXでしか利用できなかった。

その後、UNIX業界が「モメて」、分断などにより、開発が停滞、あるいは企業の統廃合が起きる。その間に、普及していったのがWindows NTやLinuxなどである。特にLinuxは、UNIXに近いところにいながら、AT&Tのソースコードとは無縁だったため、訴訟で開発が停滞したBSD系UNIXの代わりに普及した。

現在Linuxなどで広く使われているBash(Bourne Again Shell)は、1989年にBourne Shell互換のシェルとしてGNUプロジェクトで開発が行われた。また、Bourne Shellの後継となったKorn Shellも1988年にksh88を出荷する。このあたりから複数のシェルが実装され始める。

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