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バイプレイヤーの泉 第144回 『室井慎次 生き続ける者』定年後のロールモデルは室井慎次か、柳葉敏郎か

マイナビニュース / 2024年11月14日 6時0分

30年以上、しがみついてでも働くのがいいのかと問われれば、そうでもない時代だと返答する。年齢を重ねるのは若手から嫌われることだと知っているけれど、できれば必要とされる自分で、動きたい。周囲から厄介者扱いを受けてまで、働きたいとは思わない。

室井は『室井慎次 敗れざる者』にて、潔く警察手帳を返却した。青島(織田裕二)と約束した、現場の刑事が働きやすい環境を作ること。奔走したものの、結局は作ることができなかったキャリア組の室井。彼は早期退職をして、地元の秋田県に戻るのだ。

この様子も柳葉本人とリンクする。

柳葉は俳優として活躍しながら、我が子の子育て環境のために、地元の秋田県に戻ったと報じられた。今でこそ、松山ケンイチも同じような二拠点生活をしているが、先駆者は柳葉だ。報道でたまに見る、地元のいる彼はニコニコしていて、前述の新谷に見える。

で、室井に戻ろう。本来であれば退職後の道がいくつも用意されていただろうに、それらを受け入れなかった室井。彼は青島への贖罪かのように、事件に巻き込まれた児童たちを引き取って、育てていた。

働きたい、働かなければいけない、でも自分らしくいたい。そういうご時世に対して、『室井慎次 敗れざる者』は一石を投じる物語でもある。もちろん往年のファンにとっては、これまでのシリーズで見た作品の答え合わせのようなシーンも多くあった。

「(室井の生き方もいいけど、ギバちゃんみたいな現役で居続ける生き方の方がいいな……)」

映画を鑑賞しながら、序盤でそう思った。が、スクリーンに登場してきた室井を見て、俳優・柳葉敏郎のスイッチングに心臓が早鐘を打つ。室井から10年以上、役から離れていたらしいが、一瞬で室井に変わる様子に、彼の本領を感じた。ああ、必要な要素はこれだ。本領。これがまだ今の自分にはないんだろうと、自戒を込めてこの原稿を綴った。よし、踏ん張るか。最新作、映画『室井慎次 生き続ける者』は11月15日(金)公開。

小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら
(小林久乃)



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