中小企業デットファイナンスの新潮流 第32回 農業融資
マイナビニュース / 2024年11月1日 8時0分
前回はSSS保証のガバナンスチェックの内容について解説いたしました。今回は農業融資について情報を整理します。スタートアップ界隈ではアグリテック領域の企業にスポットライトが当たる場面が増えてきているものの、農業分野へ融資するプレイヤーについて語られることが少なく、通常の新規就農のケースと何が異なるのか、知見がシェアされていない状況です。融資を受けた経験がある農家へヒアリングして、制度融資について調査しました。
兼業農家でベンチャーキャピタリストでもあるフェムトパートナーズ株式会社の坂本隆宣氏によると、「農業ファイナンスは農協(農業協同組合、JAの知名度が圧倒的で、銀行・信用金庫・信用組合が融資していることを知らない人が大半」、「農業を始める際の助成金が充実しているため、数年間は自己資金と助成金で小さくチャレンジし、栽培のコツを掴んでから融資を受けて設備投資を図るケースが多い」、「農協が金融と販路の双方を支援できるため、金融機関と取引することのメリットが理解されにくい」とのことです。情報収集が難しいとされる農協以外の制度融資について、筆者が可能な範囲で調べた結果が下表になります。
日本政策金融公庫農林水産事業の融資商品である「スーパーL資金」「青年等就農資金」「農林水産物・食品輸出基盤強化資金」に共通して言えることは、融資の期間と据置期間が国民生活事業・中小企業事業と比較して非常に長いこと、金利が非常に優遇されていることです。
農林漁業に特化して融資の保証を提供する機関として、都道府県毎に設置されている農業信用基金協会があり、「農業信用保証保険制度」を運営しています。取扱金融機関は農協・農林中金・商工中金・銀行・信用金庫・信用組合等、幅広いです。独立行政法人農林漁業信用基金のWebサイトにも説明が掲載されていますのでご確認ください。農林水産省が主体となって運用している「農業近代化資金」についても、各都道府県のWebサイト(例:新潟県)に概要が載っています。
農業信用基金協会と信用保証協会との関係性については、一般社団法人全国信用保証協会連合会Webサイトの解説が分かりやすいので引用します。「一般に、信用保証協会の保証制度は中小企業・小規模事業者が対象であって、農業、林業、漁業等、一部の業種は対象となっていません。しかし、農業関連事業者であっても製造加工設備を有する等により信用保証協会の保証制度が利用できるケースや、中小企業・小規模事業者が農業に進出する場合に農業信用基金協会の保証制度が利用できるケースもあり、お互いに連携して相談に応じています。」
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