佐野正弘のケータイ業界情報局 第139回 「ahamo」料金据え置きで30GBに増量、対抗するKDDIの秘策は“ネットワーク”
マイナビニュース / 2024年11月14日 19時0分
ですが、KDDIの対抗策はこれだけに収まりません。オンライン専用の「povo」にも、新たに「360GB(365日間)26,400円」というトッピングを追加することを2024年10月17日に発表しています。こちらは、約1カ月(30日)に30GBのデータ通信量を2,200円で利用できる計算となり、通話定額などは付属しないものの、一層安く30GBの通信量が利用できます。「1年間トッピング デビュー割」を適用することで2,640円相当のau PAY残高が還元されることから、そちらを加えれば30GBを実質月額1,980円にまで抑えることが可能です。
NTTドコモ最大の弱み、ネットワーク品質での高評価をアピール
いずれのプランも、通信量や料金などの面でahamoより優位性があることを示していますが、決定的な差になるかというとそうはいかない、というのが正直なところでしょう。そこでKDDIは、さらなるahamo対抗策として、料金やサービスなどとは異なる面でのアピールに力を入れようとしています。
それはネットワークの品質です。2023年、NTTドコモは大都市部で著しい通信品質の低下を招き、顧客から非常に大きな不満の声が挙がるなど、ここ最近ネットワークの通信品質に大きな課題を抱えています。
そうしたことからKDDIは、ネットワーク品質の優位性を訴え、競争力を高めようとしている様子がうかがえます。実際、先のUQ mobileの新プランやpovoの新トッピングが発表されたのは、同社のネットワーク品質に関する説明会の場でした。
そこでは、調査会社のOpensignalが2024年10月に公表した調査レポートで、KDDIが最も高く評価されたことを示すとともに、その理由について説明。とりわけNTTドコモとの大きな違いとしてアピールしていたのが、4Gから転用した周波数帯を積極的に活用していることです。
実は、5Gのネットワーク整備戦略は携帯電話会社によって大きな違いがあり、NTTドコモは5G向けに割り当てられた「サブ6」と呼ばれる高い周波数帯の基地局を広く設置して5Gのエリアカバーを進めてきました。一方で、KDDIやソフトバンクなどは4Gから転用した周波数帯で5Gのエリアカバーを進め、サブ6の基地局は商業施設や鉄道路線など人が多く訪れる場所を中心として密に設置し、通信トラフィックを吸収するために活用してきました。
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