1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

中小企業デットファイナンスの新潮流 第34回 シンジケートローン

マイナビニュース / 2024年11月15日 8時0分

画像提供:マイナビニュース

前回はコベナンツについて解説いたしました。今回はシンジケートローンについて、大企業以外の実務にも触れている2冊の参考文献『デットIR入門』(2007年発行)と『ファイナンス業務エッセンシャルズ』(2016年発行)の内容を参照しつつ、情報を整理していきます。

シンジケートローンの概要は、『デットIR入門』に分かりやすく書かれています。

シンジケートローンとは、借入企業と複数の金融機関が、同一契約書に基づき、ローン等の取引を行うことをいう。一般的なシンジケートローン取引においては、借入企業、「アレンジャー」、「エージェント」、参加金融機関などが主な関係当事者である。アレンジャーは、借入企業から依頼(マンデート)を受けて、他の金融機関の参加を募る。招聘を受けた金融機関は独自の判断によって「シンジケート団」(以下、「シ団」という)への参加・不参加を決定する。アレンジャーは、借入企業および参加金融機関双方の意見を調整し、契約書をとりまとめる。合意に至った参加金融機関でシ団が構成され、契約を締結し、シ団から借入企業への資金(または融資枠等)供与が実施される。契約締結後はエージェントが参加金融機関の委託を受け、契約期間における借入企業との間の資金決済や通知連絡等の事務処理を行う。アレンジャーがエージェントを兼ねることが多い。

シンジケートローンの契約面での特徴についても『デットIR入門』に記載があります。

シンジケートローンは、貸出債権の転売が前提となっていることから、借り手企業の信用リスクを当初の貸し手銀行だけではなく投資家などを含めた金融市場全体でシェアできる仕組みである。さらに、多くの貸し手が納得できる金利により貸出が行われるため、市場機能がより働きやすい仕組みであり、金融サービスの効率化に資する面がある。シンジケートローンは、このような意味で「市場型間接金融」の中心的な手法の一つと位置付けられている。

シンジケートローンが貸出債権の転売が前提となっていることは、日本ローン債権市場協会(JSLA)の公開資料の中でも確認することができます。「タームローン契約書」「コミットメントライン契約書」「貸付債権譲渡に関する基本契約書」といったドキュメント類をご参照ください。

シンジケートローンのメリットは『デットIR入門』の中で当事者毎にまとめられているので抜粋します。

【1】借入企業のメリット
企業と銀行との一対一の取引である相対融資に比べ、シンジケートローンでは、資金を複数の金融機関から一括して調達することにより、メインバンクのみに過度に依存することなく多額の資金調達を行うことが可能になる。調達する金融機関を拡大すると、これらの金融機関との交渉や取引管理のためのコストが増大することが懸念されるが、シンジケートローンでは参加金融機関の招聘や交渉条件をアレンジャーに一任できるため、金融機関取引にかかる事務を効率化することができる。また、契約期間中においても、事務窓口はエージェントのみとなるため、元利払い等の事務負担の軽減にもつながる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください