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NVIDIA AI Summit Japanパネルディスカッションレポート 第1回 ソブリンAI開発は核兵器と同じ?なぜソブリンAIが必要なのか

マイナビニュース / 2024年11月18日 9時0分

私がよく例としてお話するのは、卵料理です。海外製の生成AIに卵料理の作り方を聞いたときに、日本でよく食べられている茶碗蒸しやだし巻き卵が上位に出てこなければ、それらの料理は将来なくなってしまうかもしれません。これを解消するための一つの手段として、ソブリンAIが考えられると思います。

井崎氏:馬場先生はアカデミアの観点でどのようにお考えですか。

馬場氏:お二人に賛成で、やはり日本の文化や価値観を持ったAIを構築することは重要だと思います。私は国立大学の所属なので国としての社会的な利益を考えますと、AIによって取り残される人が出ないように工夫する必要があります。

例えば、現在はアフリカ系民族の方がSNSで使うような独特の英語表現を、AIは誤りやレベルが低いと判定する傾向があるそうです。これと同じことが日本語や方言でも起こるかもしれません。だからこそ、日本語のテキストで学習し日本の文化にチューニングされたAIモデルが必要だと考えています。

青木氏:私は少し厳しい意見を持っています。自国でAIを作るかどうかは、核兵器を作るかどうかの議論と同じだと考えています。兵器を作るのはアメリカや中国だけで、使うのが他の国となると、自国で兵器を作る技術が失われます。作っている国が製造を止めてしまうと、使えなくなるということです。

私の会社は自動運転をメインにしていますが、交通の情報や車両の情報が国外に出てしまって、それを外国の都合で止められてしまうような環境にはしたくありません。ソブリンAIはもちろん必要です。国の中でAIを作れるということが大事ではないでしょうか。

ソブリンAIが日本にもたらす未来

井崎氏:最近は、ソフトウェアの貿易赤字などともいわれていますよね。自国で使っているソフトウェアが海外のものだと、国交の影響や何かのきっかけでサービスが遮断されてしまう可能性があります。経済安全保障の観点からもリスクです。わが国の競争力を考えると、AIはどのような未来の利益をもたらすでしょうか。

馬場氏:AIが人間にもたらす最大の利益は意思決定を早めてくれることです。AIによる判断が加速する中で、最近ではむしろ人間の意思決定がボトルネックになってしまっています。AIのサポートによって人間同士のスムーズな対話が促され、より本質的な議論だけに人間が集中できる環境が作れたら、よりよい社会につながるはずです。

丹波氏:ソブリンAIに限った話ではありませんが、当社はAIを局所では使わないということを目指しています。都市部ではAIが使えるけど地方では使えない、といったことが起こらないようにするという意味です。自動運転ももちろんですが、アプリケーションやソフトウェアが使える場所と使えない場所の格差を生み出さないようにしています。

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