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カレー沢薫の時流漂流 第327回 「アットホームな職場です」 闇バイトのリスクは若者のSNSバイトに限らない

マイナビニュース / 2024年11月25日 13時29分

木造アパートの離れ駐車場に停められた「レクサスに全集中二キ」宅は金持ちとは判断されないだろうが、おそらくレクサス単体でも盗難対象だと思うので油断はできない。

ちなみに監視カメラがある家は「鳥を飼っている」と報告されるらしいが、番犬はそのまま「犬」らしい。確かに「人懐っこい芝刈り機が2台いる」など、犬は隠語にした方が怪しくなってしまう。
○パピルスにも書いておきたい「自分は大丈夫」という落とし穴

SNSなどでカジュアルに闇バイト求人がされていることが問題になっているが、いくらカジュアルといっても「老人を殴って金品を強奪するだけの簡単なお仕事です。※金属バット支給、その他武器は持参ください」などと、そのままが書かれているわけではなく、一見闇バイトとはわからないように募集されており、現地で闇バイトと発覚して引くに引けなくなったり、闇バイトとは気づかずに片棒を担いでしまうというケースも少なくないだろう。

当初「闇バイトに加担してしまう若者は信じられないほどの情弱で驚くべきバカ」という見解がなされていたが、そもそも、犯罪に対し「バカと情弱しか引っかからない」というイメージを抱かさせるのは危険である。

そう聞くと多くの人間が「自分以外がひっかかるもの」と思い込んでしまうからだ。むしろ自分のバカに気づいているバカはバカ界の天才と言っていい。

詐欺が巧妙化するように、闇バイト募集も巧妙化しているという。自分は大丈夫という意識でいると引っかかることになる。

実際私が何の知識も危機感もない状態で「猫を探す仕事」を見かけたら、むしろ「これなら自分にもできるかもしれない」と思って応募していた可能性がある。

だが、それ以前にSNSなんかでバイトを探さなければいいのにと思うのだが、若者にとってSNSでのバイト探しはもはや常識らしい。

そんなにSNSでバイトを探すのがいいことなのか、と思うが、おそらく通信機器を一切持たない老人も、私のように一瞬たりともスマホを手放さない中年を見て「あの板はそんなにいいのか?」と思っているのだろう。

しかし、ここまで闇バイトが横行しているのを見ると、やはりバイトは然るべき会社を通った求人サイトなどで探すべきではないかと思うが、猫探しが掲載されていたのはそういった然るべき会社の有名すきまバイト探しアプリだったという。

つまり有名求人会社が闇バイトであると気づかずに掲載してしまうと、見る側は「ここに掲載されているなら安全だろう」と何の疑いもなく応募してしまう危険性がある。こっちの方がよほど危険だ。求人サイト側は今後チェック体制を強化していく必要がある。

ところで今回、「猫=レクサス」であることが知れ渡ったことにより、隠語として猫を使っている闇バイトに気づく人間が増えたのはよいことだが、一方で、犯罪者が隠語に猫を使用したせいで、本物の猫に関する求人も怪しく見えてしまうというもらい事故も発生している恐れがある。
今後は猫関係の求人は「猫(猫)カフェ従業員募集」という謎の念押し、もしくは「飼い主から預かったレクサスのシッター業務」など、逆にレクサスを猫の隠語として使用しなければいけなくなるかもしれない。

やはり、人間は愚かなのである。
(カレー沢薫)



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